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やさしく「CRRT trauma」をまなぶ

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腎不全でもCHDFをすれば長期的に管理できます。

しかし、CHDFをして良いことばかりではありません。

CHDFは優しいが、長くやると静かにダメージが蓄積します。

CHDFを長くすることによるデメリット「CRRTトラウマ(CRRT trauma)」についてご紹介します。

CRRT trauma の Point!
・治療液の影響が強い
・ほとんどは長期管理による影響
・治療をすれば良いわけではない



電解質異常と栄養ロス

CHDFでは体内の毒素を除去しますが、同時に生体に必要な物質も除去してしまうので、その分は治療液を補充することで補います。

では、国内で使われている治療液をご覧ください。



CHDFの治療液

CHDFで使う治療液です。国内はほとんどこの2剤しかありません。

そして、ほとんど同じ組成です。

どれも生体に必要な物質ですが、リンがないですよね?よく見たらアミノ酸もない。

足りないものがいくつもあります。

アミノ酸→抜けます↓↓↓
糖質(ブドウ糖)→100mg/dLに近づく
水溶性ビタミン→抜けます↓↓↓
脂溶性ビタミン→抜けません
アルブミン→抜けません
脂肪→抜けません
微粒元素→抜けます↓↓↓
カリウム→2.0mEq/Lに近づく↓↓↓
カルシウム→1.75mmol/Lに近づく↑↑↑
マグネシウム→1.0mEq/Lに近づく↓↓↓
リン→抜けます↓↓↓

既知の物質がこれだけ抜けます。そして、未知の物質も潜在的に抜けてしまってる可能性があります。

カリウムとかは治療液に含まれてますが、濃度が低いのでCHDFを長時間したりハイフロー設定にすると抜けてしまいます。

CHDF中にリンが抜けて、低リン血症になった患者は呼吸筋の働きが抑制されて、人工呼吸器の離脱が遅延し、気管切開リスクが上がるという有名な報告もあります。

このように電解質異常や栄養ロスによる危険があるので、モニタリングしたりして栄養を補充します。

サブラッド(もしくはサブパック)に直接電解質を入れて調節する施設もあります。

輸液にいろんな電解質液を混ぜて、カクテルのように治療液を作成する施設の報告がありますが、安全面、感染面、教育面の理由で強く推奨はされていません。

そもそも治療液がなぜこのような組成になっているか、関係者に聞いてみたところ「もともとは慢性腎不全用に作った」とのこと。実際は敗血症急性腎障害の患者も多いので、カリウムの値とかも高いとは限りません。それなら、急性期用に作れば良いと考えも出てくるでしょう。実は製薬会社が頑張らない理由があります。売れないからです。輸液関連は単価が安いので、多くの数を売り上げる必要があります。CHDF治療のみで使用する治療液はよっぽどの理由がないと作らないと思われます。

補足になりますが、CHDF中は静脈栄養より経腸栄養の方が栄養の吸収効率が良いと言われています。しくみは単純で、静脈栄養はすぐにCHDFの膜を通過しますが、経腸栄養は一度肝臓に入ってから肝臓→静脈→CHDFという経路をたどるので、ロスが少ないです。

海外はクエン酸を使うので、低カルシウム血症代謝性アシドーシスなども起こると言われています。逆にアルカローシスになる場合もあります。



薬が抜ける

ほとんどの薬剤はCHDFを行うことで体内濃度が下がります。CHDFで除去されるからです。

最近ではAN69ST膜PMMA膜などの吸着膜も使われているので、薬剤によってはたくさん吸着されてしまいます。

CHDF中にどれぐらい除去されるのか、投与設計を立てながら薬物を投与する必要がありますが、ここら辺の話は別の記事で紹介してるのでこちらを参考にしてください。

やさしく「CHDF中の薬物投与」をまなぶ



出血と凝固トラブルが起こる

CHDFは体外循環なので、血液回路が固まらないように抗凝固剤を投与します。

CHDFは24時間するので、24時間抗凝固を行います。

術後やDICなどの出血リスクのある患者にCHDFを行うことが多いので、抗凝固剤は少なめに投与している施設が多いです。

抗凝固剤を使わずにCHDFをする施設もあります(抗凝固フリー)

すると今度は血液回路が固まりやすくなります。

頻回の回路交換は瀉血と希釈を繰り返す行為になるので、かえって出血してるときと同じように失血することもあります。

輸血が必要なこともあります。

出血は最小限に回路交換も最小限にする調節が必要になってきます。



感染リスクがあがる

ブラッドアクセスの長期留置で血流感染(CRBSI)のリスクが上がります。

CHDFは重症な患者にも行う治療なので、感染すると厄介です。



低体温になる

そもそもCHDFは体外循環なので、血液が外に出ると血液が冷やされて体温が奪われます。

特に長時間になると顕著にでます。



腎機能回復が遅延する?

低血圧エピソード、持続的な体外循環ストレス、感染などの二次障害などで腎機能回復が遅延すると言われています。



血行動態への影響がある

低血圧循環血液量変動によるものです。

とくにCHDF開始時は希釈の影響(イニシャルドロップ)で血圧が下がりやすいです。昇圧剤を上げたり、輸液をしたりして対処してます。



医療資源・負担が増大する

長時間管理でICU滞在は延長します。

24時間行うのでスタッフの負担は増します。

輸血回路など資源も多く使います。



まとめ

いかがでしたが、ざっと調べてもこれだけの情報が出てきます。

CHDFは最強の治療に見えて、かえってリスクも多くあることがわかりましたね。

ここで「離脱の見極め」は大事になってきますね。



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抗凝固剤  はこちら

CHDFの離脱  はこちら

腎不全  はこちら

敗血症  はこちら

酸塩基平衡  はこちら

電解質  はこちら

その他の記事  はこちら(HP)



参考にした資料

[参考書]CRRTポケットマニュアル(2015)

[参考書]臨床工学技士のための血液浄化療法フルスペック(2014)

[文献]山本武人,他:日本腎臓病薬物療法学会誌 2014;3:3-19

N Engl J Med. 2008 May 20;359(1):7–20. PMC2574780

Honore.P.M, et al: Nephrol Dial Transplant 2013;28:2723-8

Santiago MJ, et al: Kidney International 2009;75:312-6

中村智之, 他: 日本栄養治療学会2016;31(3):821-6

加藤明彦, 他: 日急性血浄化会誌2020;11(1):22-8

[指針]AKI診療ガイドライン(各学会,2016)

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