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もう迷わない!CHDF用ヘモフィルター選択がうまくなる方法

投稿日:2月 16, 2020 更新日:

たくさんある血液濾過器(ヘモフィルター)を皆さんはどのように使い分けてますか?

ヘモフィルターは現在の国内で10個ほど商品があります。そして、これらヘモフィルターにはそれぞれ「特徴」があります。

特徴を理解することで、臨床で迷わずにヘモフィルターを使いこなすことができるかと思います。

今回ご紹介する「ヘモフィルターの使い分け」の要点をまとめてみました。

ヘモフィルター使い分けの Point!
・「AN69ST膜」「PMMA膜」はサイトカイン吸着能があり、敗血症でよく使う
・「CTA膜」は抗血栓性が高く、ライフタイムを延長させたい場面で使う
・「PS膜・PES膜」は濾過性能が高く、高い除水流量と濾過流量を設定する場面で使う
・「ATA膜」は抗血栓性と濾過性能が高い万能フィルター





AN69ST膜・PMMA膜は吸着特性

AN69ST膜
[商品名]
セプザイリス
PMMA膜
[商品名]
ヘモフィールCH

どちらもサイトカインを吸着するフィルターです。なので、サイトカインが病原である敗血症重症急性膵炎の症例で使用します。

どちらも吸着原理が違いますが、優秀な吸着能を持っています。

AN69ST膜とPMMA膜の違いはこちら

サイトカインなどのタンパクを吸着するので、重症の敗血症や重症急性膵炎には有効ですが、軽症の慢性腎不全や術後の透析管理などでは、体に必要な既知のタンパク・未知のタンパクが吸着されてしまうので、軽症例ではあまり使用しません。

※PMMA:polymethylmethacrylate(ポリメチルメタクリレート)
※AN69ST:surface treatment





CTA膜の高い抗血栓性

CTA膜
[商品名]
UTフィルターS

抗血栓性に優れたヘモフィルターです。

凝固で回路閉塞する場面ではUTフィルターを使うことで、凝固が軽度になり、回路閉塞を起こしにくくなります。

もともとは再生セルロース(RC)と呼ばれる膜で、生体適合性が悪い(補体活性化や白血球減少)と言われてましたが、RCのOH基をアセチル基に変え、生体適合性が改善したと言われています。

UTは均質構造になっていて濾過性能が低いです。なので、治療中にTMPが上昇しやすいです。

TMP増加によって回路閉塞する場合もあります。そんな時は次にご紹介する非対称構造の「PS膜」「PES膜」を使います!

※CTA:cellulose triacetate(セルローストリアセテート)





PS膜・PES膜の高い透水性

PS膜
[商品名]
エクセルフロー
PS膜
[商品名]
ヘモフィールSNV
PES膜
[商品名]
シュアフィルター

透水性能の高いヘモフィルターです。回路閉塞で上昇するTMPがPS膜・PES膜では上がりづらいので、除水を多く設定したい場面で使用します。

また、大分子両物質のクリアランスを上げるために高い濾過流量を設定(high volume)する場面でも使用されます。なので、重症の敗血症にも使われることがあります。

PS膜とPES膜は両者とも高い透水性を持つことが知られてます。

両者の違いとしてはPES膜の方が大分子量物質のクリアランスが高いです。つまり、比較的に大きな物質もCHDFで除去できます。

大分子クリアランスが高いことはミオグロビンやサイトカインを除去できるメリットがありますが、逆にいえば、生体に必要なタンパクであるアルブミンが漏出しやすいと言われています。

PS:polysulfone(ポリスルホン)
PES:polyethersulfone(ポリエーテルスルホン)





抗血栓性+透水性のATA膜

ATA膜
[商品名]
UTフィルターA

ATA膜はCTA膜を改良したヘモフィルターです。

CTA膜はそもそも高い抗血栓性のフィルターですが、膜表面を滑らかに加工してさらに抗血栓性が上がっています。

そのうえ、 均質構造から非対称構造にすることで、欠点であった透水性能は改善され、TMPの上昇が比較的抑えられるようになりました。回路閉塞しやすい症例でも使われます。

最近登場したヘモフィルターなので、今後に高い期待が持てますね。

ATA:asymmetric(アシメトリックトリアセテート)





材質による膜選択

各ヘモフィルターの特徴をご紹介しました。

それらの情報をまとめると

吸着特性(大分子クリアランス)ではPMMA膜・AN69ST膜

大量の除水や濾過にはPS膜・PES膜

抗血栓性はCTA膜

透水性と抗血栓性にはATA膜

といった使い分けになります。

血液濾過器に求められる性能として「小分子クリアランス」「大分子クリアランス」「透水性」「抗血栓性」「生体適合性」の5つの代表的な項目があります。

「大分子クリアランス」「透水性」「抗血栓性」は上で説明したように膜材質で異なります。

残りの「小分子クリアランス」と「生体適合性」は膜材質であまり違いがありません。

こちらも今からご紹介します。





小分子クリアランスはどの膜材質でも同じ

大分子クリアランスと透水性、抗血栓性は上でご紹介しました。

小分子クリアランスに関しては膜材質による違いは実はありません。

すなわち、上でご紹介したどの材質のヘモフィルターを使用しても

小分子クリアランスは変わらないということになります。

CHDFの場合、小分子クリアランスは「材質」ではなく、「透析条件」で決まります。

また「生体適合性」に関してはまだ紹介してないので、今からご紹介します。





どのヘモフィルターも生体適合性はすごく良い

どの商品も日々改良がされていて、バイタルの変動が小さく、活性化白血球の発現も起こりにくく、生体適合性は非常に高いです。

しかし、CHDF治療開始時にアナフィラキシーショックによる「血圧低下」が起こることがあります。

これはヘモフィルターに含まれている含有物質(環境ホルモン)の影響と考えられています。

代表的なのがPS膜に含まれているPVP(polyvinylpyrrolidone:ポリビニルピロリドン)です。

これらの含有物質は商品の滅菌や製造の工程でどうしても必要であり、

しっかりプライミングで洗い流してもアナフィラキシー症状が起こることがあります。

こちらは各社のヘモフィルターに含まれている含有物質です。

PVP以外にもBPAやグリセリンなどの生体への影響が懸念される環境ホルモンが存在しているのが事実です。

血圧低下の対処として「違うヘモフィルターを使用する」ことで回避できます。

膜のアナフィラキシーショックが疑われたら違うヘモフィルターに切り替えましょう。

ヘモフィルター以外にも、併用している「抗凝固剤」や「血液回路」の影響でアナフィラキシーショックを起こすことがあるので、そちらも留意しながら治療に臨みましょう。





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[参考書]臨床工学技士のための血液浄化療法フルスペック(2014)

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