CBP CRRT 血液浄化

やさしく「血液浄化の離脱」をまなぶ

投稿日:12月 19, 2020 更新日:

血液浄化は患者の血液をフィルターに通し、血液をきれいにすることで、一時的に腎機能の役割を果たします。腎不全の治療でよく使用されます。

ICUでは急性腎不全や慢性腎不全の術後管理で血液浄化をされることが多いと思います

何を基準に血液浄化を「導入」しているか、

そして何が良くなったら血液浄化を「離脱」するのか。

今回はそんな血液浄化の「導入」「離脱」をご紹介します。

血液浄化の導入と離脱の Point!
・導入できる適応疾患は腎不全だけじゃない!
・離脱は尿量とBUNとCreの「変化量」を見る
・急性腎不全を離脱できなければ慢性腎不全になる





血液浄化の開始

CHDFの適応は次の通りです。

CHDFの適応
・慢性腎不全
急性腎障害(AKI)
急性膵炎
敗血症
急性肝不全

※令和2年診療報酬点数表

慢性腎不全は尿毒症の末期腎不全患者になります。

急性腎障害(AKI)は
高度代謝性アシドーシス(pH 7.15以下など)
薬物中毒
尿毒症(KDIGO・BUN 80mg/dl以上など)
電解質異常(カリウム6.0mEq/l以上など)
体液過剰(溢水・肺水腫・心不全など)

が適応になります。

数値を記載していますが、だいたいこれくらいで導入になることが多いです。

BUNで導入を決める研究がありましたが明確な値はいまだ不明です。

血液浄化の原理から相対的な適応や例外的な使用もよくあります。

このように血液浄化は「疾患名」だけではなく、「病態」で適応が決まることがあります。

ほとんどは急性腎障害(AKI)に導入しますが、それ以外の利用目的もあります。次に説明します。





血液浄化の変わった使い方

ほとんどは腎機能の補助目的で血液浄化(renal indication)を導入しますが、それ以外にサイトカインの除去を目的とした血液浄化(non-renal indication)があります。

実際に腎不全ではなく「敗血症」だけでも保険請求できる血液浄化があります。

他にも薬物中毒で体内の薬物を除去する目的で使用することもあります。

急性期の血液浄化はひと昔、持続的腎代替療法(CRRT : continuous renal replacement therapy)と呼ばれていましたが、

サイトカイン除去や肝機能補助を目的とすることもあるため、持続的血液浄化療法(CBP : continuous blood purification therapy)と呼ばれるようになってきました。

このように急性血液浄化の適応は幅広いです。





血液浄化の終了

急性期での血液浄化の終了は大きく2パターンに分かれます。

1 急性腎障害(AKI)から離脱
2 急性腎障害(AKI)から慢性腎不全(CKD)に移行



AKIから離脱

一時的に腎機能が低下するAKIでは腎機能が立ち上がり、うまく離脱ができれば正常の腎臓に戻ることがあります。

離脱のタイミングを決定する評価方法はありませんが、尿量と血液検査値(BUNとCre)で評価するのが一般的です。



尿量で評価

利尿薬を使って一日2300ml以上、利尿薬を使わずに一日430ml以上の尿が出れば、血液浄化を離脱できる可能性が高い。という研究があります。尿量の増加がみられたら、ボリューム負荷や利尿薬を試し、離脱を試みます。



BUNとCreで評価

尿量だけでなく、きちんと溶質が排泄されているか。の指標として血中尿素窒素(BUN)と血中クレアチニン(Cre)があります。
CHDF施行中はBUN、Creの値が一定の間隔で下がっていきます。血液浄化の治療条件に変更がなく、腎不全の状態は血液浄化だけによってBUN・Creは排泄されるためです。腎機能が回復すると、尿量の増加とともにBUN・Creの値も急激に下がる(spontaneous fall)ことがあります。これも腎機能が回復したという判断材料になります。





AKIからCKDに移行

腎機能がうまく立ち上がらず。AKIからCKDへ移行するパターンがあります

CKDに移行した腎臓は回復することはなく、生涯にわたって透析治療を行わなければなりません。この場合は慢性の維持透析(HD)ができるようにシャントをつくり、週3回程度で透析治療を行います。





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参考にした資料

[参考書]CRRTポケットマニュアル(2015)

[雑誌]CRRT(INTENSIVIST,2010)

[指針]AKI診療ガイドライン(各学会,2016)
↑無料のもあります。

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