病態生理 集中治療室(ICU)

ざっくりと敗血症の病態生理!

投稿日:1月 13, 2019 更新日:

敗血症とは

結論から言うと

「感染症によって臓器障害が起こること」

になります!

順序的には「感染→臓器障害」となるわけですが、感染から臓器障害に結び付く理由がイマイチ。。。

ここでは、感染から臓器障害に至るまでの経緯、「感染→〇〇→臓器障害」〇〇の部分を記載していこうと思います。





敗血症の病態生理

敗血症の病態生理を自分なりにざっくりまとめると図のようになります。

敗血症の病態図

厳密には矢印がループしたり、複雑な病態生理が絡み合いますが、イメージをつかむために単純に書きました。





DAMPs、PAMPs、alarmin

感染由来の外因性の病原物質を「PAMPs(pathogenassociated molecular patterns)」

内因性の病原物質を「alarmin」

と言い、この二つを総称して

「DAMPs(damage-associated molecular patterns)」と言います。

これらが敗血症のおおもとの悪さをしている物質です

 

PAMPs
Alarmins
Triacyl lipopeptide
Peptideglycan
Lipoprotein
Double-stranded RNA
LPS
Flagellin
Diacyl lipopeptide
Single-stranded RNA
Unmethylated CpG DNA
Uropathogenic Echerichia coli
Lipoteichoic acid
 
Necrotic tissue
HSPs (HSP-60, HSP-70, Gp-96)
Biglycan
Self-messenger RNA
Extra domain A-containing fibronectin
Fibrinogen
Polysaccharide fragments of heparin sulfate
Oligosaccharides of hyaluronic acid
Oxidized low-density lipoprotein
Surfactant protein A in the lung epithelium 1
Neutrophil elastase
Chromatin-IgG complex
β-Defensin 2
HMGB1
S100s
HDGF
IL-1a
Uric acid
Cathelicidins
Defensins
EDN
Galectins
Thymosins
Nucleolin
Annexins

表は一部ではありますがこれだけ多くの物質、サイトカインが悪さをしているみたいです。

LPSはいわゆる「エンドトキシン」のことでPAMPsの一つになります。

敗血症は「エンドトキシン血症」と呼ばれていましたが、エンドトキシン以外にもたくさんのサイトカインが出現することが近年分かってきたため、「高サイトカイン血症」や「サイトカインストーム」なんて呼ばれ方をします。

※注意点※
昔はDAMPsのDが「danger」という意味で用いられ、内因性の病原微生物由来の事を指してましたが、近年DAMPsのDが「damage」と言われだして、PAMPsとalarminの総称になったみたいです。文献を読むときに混乱してしまうので注意です(笑)





PRRs(パターン認識受容体)

PAMPsやalarminを感知し、サイトカイン産生に繋がるレセプターを総称して「PRRs」と言います。

TLRやNLR、RLR、CLRなどが含まれます。

DAMPsを「鍵」で例えるとPRRsは「鍵穴」の役割をします。





高サイトカイン血症

ここまでの流れが過剰に起こるために炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α)・抗炎症性サイトカイン(IL-10、TGF-β)が過剰に産生され、高サイトカイン血症となります。

そもそもサイトカインとは、上記でも説明した

「免疫担当細胞や血管内皮細胞 など多種多様な細胞により産生され、細胞間で情報を送る糖タンパクのこと」

と定義されています。

普段はまじめで良いやつなのですが、これが100倍、1000倍と敗血症では異様な数になります。

サイトカインが過剰に産生されると免疫系の刺激・抑制や炎症反応、NETTING、凝固・線溶の活性化などによって血管内の制御が効かなくなり、そこから「敗血症性ショック」「DIC」「細胞死」などを誘発し臓器障害へと結びつきます。

この三つはポイントなので内訳を記載していきます。





敗血症性ショック

ショックといえば血圧低下ですが、敗血症性ショックは単なる出血や心機能低下ではなく「血管透過性亢進」による血圧低下が起きます。

血管透過性が亢進すると、血管内から水分だけでなく、重要なたんぱく質なども血管外へ漏れ出てしまい、血管内ボリュームが少なくなってしまいます。

輸液を行っても血管外へ逃げてしまうためボリューム付加が効かず、昇圧剤も効きにくく、かなり厄介です。

血管透過性亢進もやはりサイトカインの仕業だと言われています。

大きな理由が二つあり、

一つは「グリコカリックスレイヤーの消失」

もう一つは「タイトジャンクションの破綻」です。



グリコカリックスレイヤーの消失

血管の内壁にはグリコカリックスレイヤーと呼ばれる海藻のような層があるため、アルブミンなどの移動が少なく、血管内のバランスを保っていますが、過剰なサイトカインによってグリコカリックスレイヤーが削り取られ、機能を果たせなくなります。



タイトジャンクションの破綻

血管壁の細胞間にあるブリッジプロテインが支える力がなくなり、タイトジャンクションが開いてしまいます。その開いた穴から血管外へ漏出してしまい、機能が果たせなくなります。

これら血管透過性亢進により、血圧低下を招き、抹消循環が障害されます。その結果、抹消組織の酸素供給ができない状態になり、最悪の場合は臓器不全へとなります。バイタルや乳酸値の観察が必要不可欠です。





DIC(播種性血管内凝固症候群)

炎症性サイトカインはSIRSや敗血症だけでなく、組織因子(TF)に触れ、外因系凝固が過剰に起こり、DICがしばしばみられます。

DICの病態としては抗凝固因子の減少や、線溶抑制などありますが、何よりも先に「過凝固」が血管内で起こり、作られた播種性フィブリンが微小血管で詰まります。

その結果、抹消組織に循環ができず、最悪の場合は臓器不全へとなります。

敗血症では単体で臓器障害が起こることもありますが、DICが起こるとすべての臓器で障害が起こる危険性が高いです。SOFAスコアの中にもありますが血小板数の確認が特に重要になってきます。

炎症(SIRS)と凝固(DIC)、両方のコントロールが治療のカギになってきます。





細胞死

細胞死は未だわかっていないことも多く、何より、自分が理解できていないため、うまく言葉にできません。

ストレス、即ち侵襲が優しければオートファジー(自食)が、適度ならアポトーシスが、そして厳しければネクローシスが発生する説が発表されています。





まとめ

感染によってDAMPs(PAMPs、alarmin)の発現・放出され、それがPRRsによって認識されてサイトカインが過剰に産生される。過剰なサイトカインによって制御が効かなくなった血管内は、血管透過性亢進による血圧低下やDICによる播種性フィブリンによって循環不全→組織の酸素代謝ができなくなる。その結果、直接的な細胞死も兼ね合わせて臓器障害、最悪の場合は臓器不全へと陥る。





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参考にした資料

[指針]日本版敗血症ガイドライン(日本集中治療医学会,2016)

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