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やさしく「ビジレオモニター」をまなぶ

投稿日:12月 24, 2018 更新日:

循環動態とは

心機能や末梢循環、酸素化など人間が生きる上で必要不可欠な生理学です。(詳しくはこちら「循環動態」)

重症患者では特に重要視されています。

そんな循環動態をモニタリングする装置である「ビジレオ」について解説します。

ビジレオの Point!
・フロートラックセンサーを使って動脈圧面積→心拍出量(CO)を計算
・動脈圧のゆらぎ(呼吸性変動)からSVV(1回拍出量変化量)を計算
・オキシメトリーCVカテーテルを使って混合静脈血酸素飽和度(SvO2)中心静脈圧(CVP)を測定
・これらの項目を使って体血管抵抗(SVR)を計算
・これら測定項目を連続的に測定しているので、トレンド(どれぐらい変化しているか)がわかる



ビジレオってどんなもの?

  ビジレオモニター  

フロートラックセンサー

ビジレオはフロートラックセンサーと組み合わせて発揮します。

フロートラックセンサーは一般的に使用されている動脈圧モニターと似たようなもので、ケーブルが二種類(生体情報モニター用とビジレオ用)あることと、動脈圧波形を演算して心拍出量(CO)を測定します。





心拍出量(CO)の測定原理

フロートラックセンサーによって得られた圧波形を一心拍ごとに面積を求めます。

面積が小さい → 心拍出量は少ない
面積が大きい → 心拍出量は多い

面積から心拍出量を計算するという単純な原理です。

この原理に加え、より高精度に解析をするために身長・体重・年齢・性別をビジレオに直接入力して血管コンプライアンスを決めます。

一心拍ごとに測定ができるため、連続的な測定が可能です。

求めた一回心拍出量(SV)と脈拍数(HR)をかけて心拍出量(CO)を計算します。

ビジレオは動脈圧で心拍出量を求めるため「動脈圧心拍出量(APCO)」という言い方もします。

ビジランスは静脈で熱希釈法によって心拍出量を出すのに対し、
ビジレオは動脈で圧波形を解析して心拍出量を測定します。
同じ心拍出量でも測定の仕方が違います。





SVV(1回拍出量変化量)について

SVV(1回拍出量変化量)とは

人工呼吸器管理が落ち着いているにもかかわらず、SVが変化し、血圧が図のように”ぐわんぐわん”と揺らぐ波形は基本的に「血管内脱水」を疑います。(呼吸性変動)

その「血圧基線の揺らぎ」を数値化したものが「SVV」です。

収縮期圧変動、脈圧変化量とも呼ばれます。

一般的にSVVが12%以上で輸液した方が良いと言われています。

自発呼吸なし(人工呼吸器管理)、不整脈なしという条件があります。

上はSVVが上昇した実際のモニター波形です。

血管内がさらに脱水になると、脈拍数も多くなります。





ScvO2やSVRも出したい!!

 

オキシメトリーCVカテーテル

昔はプリセップCVカテーテルと呼ばれていましたが、オキシメトリーCVカテーテルも併用することで中心静脈血酸素飽和度(ScvO2)や混合静脈血酸素飽和度(SvO2)中心静脈圧(CVP)を測定します。

SVR(体血管抵抗)を求めるにはCVPが必要です。
<計算式>SVR = 80 × (MAP - CVP) / CO
SVRは理論上CVPが必要ですが、ビジレオの設定によってはCVP=0で計算しSVRを出力していることもあります。





混合静脈血酸素飽和度(Sv-O2)の測定原理

反射式分光光度法により、連続混合静脈血酸素飽和度(SvO2)を測定されます。





まとめ

測定項目をまとめると

(AP)CO
(動脈圧)心拍出量
[]
CI
心係数
CO / BSA
SVV
1回拍出量変化量
[]
SV
1回拍出量
[]
SVI
1回拍出量係数
SV / BSA
SVR
体血管抵抗
80 × (MAP[] - CVP[]) / CO
SVRI
体血管抵抗係数
80 × (MAP[] - CVP[]) / CI
ScvO2
中心静脈血酸素飽和度
[]
BSA
体表面積
(身長[])0.7×(体重[])0.4×0.7
※情報源
[]・・・フロートラックセンサーで測定した値
[]・・・ベッドサイドモニターから入力した値(アナログ入力ケーブル)
[]・・・プリセップCVカテーテルで測定した値
[]・・・ビジレオモニターに直接入力した値
 
(AP)CO
(動脈圧)心拍出量
4.0 ~ 8.0 [L/]
CI
心係数
2.5 ~ 4.0 [L//m2]
SVV
1回拍出量変化量
10 ~ 15 [%]
SV
1回拍出量
60 ~ 100 [mL/]
SVI
1回拍出量係数
33 ~ 47 [mL//m2]
SVR
体血管抵抗
800 ~ 1200 [dyne-sec/cm5]
SVRI
体血管抵抗係数
1970 ~ 2390 [dyne-sec-m2/cm5]
ScvO2
中心静脈血酸素飽和度
60 ~ 80 [%]
BSA
体表面積
平均体表面積 1.73m2(欧米) 1.48m2(日本)





ビジレオを使っていざ治療!

上で数値が理解できたら、次は治療に応用しなくてはなりません。

治療を行うためには「循環動態」について理解する必要があります。

循環動態はこちら

循環動態を理解すればビジレオに表示されている数値を用いて、どの治療を行うかが判断でき、治療を行う上での根拠にもなります。

一覧を記載しておきます↓





循環動態をさらに細かく見たい

重症患者ではしばしば肺水腫がみられ、循環動態をさらに細かく見たい場合はフロートラックに付け加えて「ボリュームビューカテーテル」をと呼ばれるものを使い、肺血管外水分量などの肺状態をモニタリングすることができます。

この時、ビジレオモニターではなく「EV1000」と呼ばれるモニターに接続して使用します。





実は現在ビジレオは販売終了しています。

しかし根強く使用している施設も多いので、記事は残しておきます。

ビジレオの後継機種は「ヘモスフィア」になります。





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参考にした資料

[参考書]救急・ICU患者のME機器からみた呼吸・循環管理(2018)

[参考書]ECCE(Edwards,2015)
↑無料で見れます。


[文献]各種循環動態モニタ-装置の比較─グラフィック機能の有用性-(医機学,2013)


[総説]集中治療における非侵襲的心拍出量モニタ(日集中医誌,2010)

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