CHDFの流量設定は自分の言葉で説明できますか?
「とりあえず基本設定で!」という方も多いと思います。
今回はCHDFの治療条件についてご紹介します。
透析液流量と補充液流量
治療液は透析液流量と補充液流量の2種類あります。
治療として見ればどちらも同じ目的ですが
原理や効果は違います。

透析液だけを流すことを持続的血液透析(CHD)と言います。
膜に透析液を流すと、血中の物質と透析中の物質の間で浸透圧差が生まれます。この濃度差によって移動が起こり、濃ゆいものは薄くなり、薄い物は濃ゆくなります。拡散と言います。
おもにカリウムなどを除去する「電解質補正」重炭酸を補充する「アシドーシス補正」BUNやCrを除去する「尿毒症因子の除去」これらを目的に行います。
補充液を流して濾過することを持続的血液濾過(CHF)と言います。
ポンプをしごくことで陰圧を作り、血中から水と物質を抜きます。濾過と言います。
抜いた分はきれいな治療液を補充します。
ポンプを使って機械的に治療するので、CHDの比べると大きな物質も除去できます。
おもにサイトカイン除去を目的にした敗血症やミオグロビン除去を目的にした横紋筋融解症に対して行います。
このCHDとCHFを合わせた治療が持続的血液濾過透析(CHDF)になります。

各治療設定のイメージです。
ここでは
通常設定(例)
CHD:透析液流量 600ml/h 補充液流量 0ml/h
CHDF:透析液流量 300ml/h 補充液流量 300ml/h
CHF:透析液流量 0ml/h 補充液流量 600ml/h
と考えてください。
CHDは小分子のクリアランスが高いですが大きな物質(大分子)ではあまり抜けません。CHFは比較的抜けます。
一見するとCHDFよりCHFの方が良いのでは?と考えも出てくるでしょう。
CHFだと膜に負担がかかってTMPが上昇したり、本当は抜きたくない物質まで抜けてしまう恐れがあります。「CRRTトラウマ」と言います。
このような考えから現在ではどの施設でもCHDFが主流になってます。
ハイフローボリューム設定
通常より多い治療液を使う設定もあります。
ハイフローCHD(F):通常より多い透析液流量
例)透析液流量 1000ml/h 補充液流量 300ml/h
ハイボリュームCH(D)F:通常より多い補充液流量
例)透析液流量 300ml/h 補充液流量 1000ml/h
ハイフローボリュームCHDF:通常より多い透析液流量と補充液流量
例)透析液流量 1200ml/h 補充液流量 900ml/h
治療液が多い分クリアランスは高くなります。
昇圧剤も効きにくくアシドーシスを早く是正したい!高サイトカイン血症だから早く除去したい!このようにクリアランスを高めたい特殊な場面で使われる設定です。
通常は治療液(透析液+補充液)は600~800ml/hくらいで設定することが多いと思います。
これは治療液の保険診療上の上限が15~20L/日と決まっているからです。地域によって差はありますがだいたい15~20L/日くらいです。
この制約よりも多い流量をハイフローボリューム設定をした場合は、多い分は病院負担になってることと思います。
基本は通常設定で行いますが、ハイフローをした方が良いと判断した時はこのように治療液を増やすことがあります。
金銭的な注意点の他に、栄養ロスや電解質異常などのCRRTトラウマが表れやすくなります。
装置にも注意点が必要で補充液流量は血液流量の20以下に設定しなければいけません。例えば、血液流量が100ml/minであれば、補充液流量は20ml/min(1200ml/h)以下にしなければいけません。これは過度な濃縮が起こることを避けるためです。設定しようとするとおそらく装置からアラームが鳴ると思います。
除水流量
CHDFの最大の強みでもある「除水」について説明します。
血液透析(HD)では4時間ほどしか透析をしないので、多く除水をすると血圧が下がってしまってできませんが。
CHDFは24時間ゆっくり行うので、比較的、血圧を維持しながら大量の除水が可能なのです。
例えば、1時間で100ml除水するとしましょう(100ml/h)コップ1杯分ですが、24時間行うと2400mlも除水が可能です。
このことから、CHDFは循環動態が不安定な患者にも推奨されています。
抗凝固流量
よく使われる抗凝固剤としてメシル酸ナファモスタットとヘパリンがあります。
添付文書ではメシル酸ナファモスタットは20~50mg/hくらい、ヘパリンは500~1500単位/hくらいで投与との記載がありますが、
CHDFを必要とする患者は術後だったり、DICで凝固系が破綻している患者が多く、実際は添付文書より少ない用量で抗凝固剤を投与している施設が多いです。
私の肌感覚になりますが、メシル酸ナファモスタットは10~40mg/h、ヘパリンは200~800単位/hで使用することが多い印象です。出血リスクがある時は少なめ、凝固で血液回路が詰まりやすい時は多めに調整してます。
メシル酸ナファモスタットもヘパリンもAPTTとACTでモニタリングできます。体内ACTは150~200くらい、APTTは1.5倍くらいで調整してる施設が多いです。
出血リスクをもっと回避したいときは抗凝固を使わない方法もあります。(抗凝固フリー)
出血リスクが怖くて抗凝固剤の流量を下げると、もちろん回路が閉塞するリスクも上がります。頻回の回路交換は瀉血と希釈を繰り返す行為になるので、かえって出血してるときと同じように失血することもあるので気をつけましょう。
消極的な選択肢として、アルガトロバンと低分子ヘパリンがあります。こちらは他に選択肢がない場合に使うことがあります。基本的には使用しません。
血液流量
~血液流量とクリアランス~
血液流量に関してよく勘違いする話があります。
「透析効率を上げたいから血液流量を上げたい」「循環動態不安定だから血液流量を下げて緩徐に透析したい」
これらは間違いです。HDでは血液流量でクリアランスは変わりますが、CHDFでは血液流量でクリアランスは変わりません。

クリアランスは血液流量と透析液流量で決まります。(正確には他にもありますが)
一番効率が良いのは血液流量と透析液流量の比が1:2と言われています。
片方が極端に多くても、その分効率が落ちます。
4時間の透析(HD)の場合は透析液流量500ml/hと多い流量で流すので、血液流量を上げることでクリアランスが上がります。
対して24時間の透析(CHDF)の場合は透析液流量は10ml/h(600ml/h)なので、血液流量ではなく透析液流量を上げることでクリアランスは上がります。
~血液流量と回路凝固~
低い血液流量:30ml/minと極端に血液流量が低いと凝固しやすく膜劣化を起こす可能性があります。
高い血液流量:150ml/min VS 250ml/minの高い血流量の間では凝固の発生にはあまり差はないと報告があります。また、血液流量が極端に高いと脱血不良は起こりやすくなります。
これらの話から、CHDFの血液流量は80~120/minくらいがちょうどいいのでは?と考えてます。
膜選択
膜選択の話は、別で詳しく書いた記事があるのでこちらを参考にしてください。
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参考にした資料
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[参考書]臨床工学技士のための血液浄化療法フルスペック(2014)