CBP CRRT 血液浄化

やさしく「血液浄化の原理」をまなぶ

投稿日:2月 8, 2020 更新日:

持続的血液濾過透析(CHDF)などの血液浄化はアシドーシスや電解質を補正したり、除水を行う治療機器です。

実際に装置を外から見ると、何をしているかわかりにくいですよね。

装置内で行われている血液と透析液の動き方、原理についてご紹介します。

CHDFの原理の Point!
・CHDFの原理は「透析」「濾過」の2つ!
・透析は小分子物質が移動する
・濾過は水分と小~大分子物質が移動する




血液浄化を理解するのに必要な原理は2点です。


「透析」「濾過」

です。

順番に解説していきます。

と、その前に

中学校で習う水溶液のお話をしましょう。



水溶液のお話

自分が大好きな梅酒を例にさせてもらうと

梅酒の溶質・溶媒・溶液はわかりますか?

水溶液は

となります。

管理人の大好きな梅酒で例えると

溶質:梅、砂糖
溶媒:アルコール
溶液:梅酒

と考えるとわかりやすいと思います。

それでは本題に入りましょう。





透析の原理

一言でいうと

「拡散」と呼ばれる

「濃度差による溶質の移動」です。

かみ砕いて説明すると

溶けている物質は濃ゆい方から薄い方へ移動します。

ここで先ほどの梅酒を使うと

半透膜を介して濃度が均一になるよう溶質が移動します。これが拡散です。

※逆に薄い方から濃ゆい方へ溶媒が移動することを「浸透」と言います。

この拡散を治療に応用したのが血液透析(HD)です。

一般的にヘモフィルターと呼ばれるものに血液を通します。

ヘモフィルターの外側に透析液を流します。

血液中の物質と透析液中の物質は違うため、濃度差が発生します。よって拡散が起こります。

カリウム(K)の高い患者の血液は透析液にカリウムが移動します。

血中尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cr)などの腎毒性物質は透析液に含まれていないので、血中から透析液に移動します。

透析液は重炭酸を高濃度にしていて、腎不全による代謝性アシドーシスは重炭酸が欠乏しているため、透析液から血中に移動(補充)します。



血液透析(HD)イメージ図





濾過の原理

一言でいうと

「限外濾過」と呼ばれる

「圧力差による溶液の移動」です。

おなじみ、梅酒を使うと

圧力を加えることで半透膜を介して溶液(溶質と溶媒)が移動します。これが限外濾過です。

※厳密には圧力を加えないのが濾過、圧力を加えるのが限外濾過です。

この限外濾過を応用したのが血液濾過(HF)です。

ヘモフィルターの内側に血液を通します。

ヘモフィルターの外側に透析液を流します。

濾過ポンプを回すとチューブが押しつぶされ、チューブの復元力で陰圧が発生します。

血液中の物質・水分が圧力差で透析液側に引っ張られます。

血液濾過は血液透析で取れないβ2-MGなど大きな物質(中分子領域)もとることができます。

※この時、フィルターの側孔を通らない血球や大分子量物質は透析液側に移動せず、血中に残ります。

濾過するばかりだと血中の水分がどんどんなくなってしまうので、チャンバー内に水(補充液)を足します。



血液濾過(HF)イメージ図



水を足さずに濾過だけすると、いわゆる「除水」になります。

透析と濾過をせず、除水だけすることをECUM(イーカム)といいます。

ECUMを24時間することをSCUFといいます。



ECUMイメージ図





透析+濾過

濾過と透析を同時に行うことを血液濾過透析(HDF)といいます。

HDFを24時間行うことを持続的血液濾過透析(CHDF)といいます。



血液濾過透析(HDF)イメージ図





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