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「低体温療法」がうまくなる方法!装置選択から管理まで

投稿日:6月 26, 2022 更新日:

低体温療法はひとことで言うと・・・

「脳を守る治療!」

になります。

心停止した患者は全身の循環がなくなり、血流が停滞します。

各臓器に酸素や栄養や送られなくなるのです。

はとくに虚血に弱いと言われていて、

心臓は30分もつと言われてますが、脳は『3分』血流がなくなると脳死すると言われています。





低体温療法をうまく管理するコツ

「低体温療法(Therapeutic Hypothermia)」は体温管理療法(TTM: Targeted Temperature Management)の1種で、高体温を回避することで脳障害の進行を防ぐことに加え、中枢神経の保護作用を期待する治療法です。

低体温療法で脳損傷を予防し、転帰改善を目指した治療です。PCAS(心停止後症候群)患者では有効と言われていて、ROSC(Return Of Spontaneous Circulation)後の昏睡状態の患者では低体温療法を行うことが推奨されています。

具体的な治療内容は

低体温療法
心停止後に心拍が再開した(ROSCした)昏睡状態の成人患者は32~36℃(24時間以上)を目標に体温調整する。その状態を24時間以上維持する。

と、多くのガイドラインで言われています。

患者を最低32℃まで冷やします。

32~36℃の間では「32℃にすべき」など決まった見解がないので、この範囲であれば問題ないとされています。

しかし、目標の体温を決めたら「その体温で維持すべき」といった報告はありますので、

そういった管理の「ポイント」を次にまとめてみました。

低体温療法のポイントは

低体温療法を管理する Point!
・冷却開始:できるだけ早く低体温療法を開始する。シバリング低減目的に鎮痛薬・鎮静薬・筋弛緩薬を用いるべき
・目標体温:33℃、34℃、36℃から選ぶ。(決まった見解はない)目標体温を決めたら厳格に管理する。そして24時間以上行う。
・復温開始:0.15~0.25℃/時でゆっくり復温する。(アークティックサンなどの制御システムを用いるのが良い)復温後48時間以上は注意しながら体温管理する。
・体温測定:基本は「深部体温」を測定します。温度センサ付きの留置カテーテルで膀胱温や直腸温を持続的(24時間)に測定することが多いです。深部体温であればその他に鼓膜温、脳温、血液温、食道温でも良いとされています。

こんな感じになります。

目標の体温を決めたら、あとは「目標通りに管理する」必要があります。

冷却にはいろんな方法がありますが、厳密に管理できる装置(アークティックサンなど)を用いた方が労力の面でも楽になります。

そういった冷却装置についてご紹介します。





低体温療法における冷却方法(各装置)

低体温療法をするための方法はたくさんあります。

私が知る限りの方法を一覧にしてみました。

低体温療法の冷却方法(各装置)
体表冷却
 ・アークティックサン
 ・ブランケットロール
 ・CrtiCool
 ・氷嚢
血管内冷却
 ・サーモガード
咽頭冷却
 ・クーデックアイクール
血液冷却
 ・VA ECMO
 ・KTEK-IV
冷却輸液
 ・冷却した輸液



・アークティックサン

体表に専用のジェルパッドを貼ります。パッドの中には循環水が流れます。この循環水の温度を調節して、体温をコントロールします。装置で目標の体温を設定したら、目標体温になるように調節してくれます。こういった体表冷却は簡便で侵襲が少なく、体温管理も安定して行えます。デメリットとしては末梢血管収縮に伴って血圧が変動することがあるので注意が必要です。あと専用パッドが使い捨てで高価です。

アークティックサンジェルパッド



・ブランケットロール、CrtiCool、氷嚢

アークティックさんに比べて比較的安価で導入する手段です。こちらはシートや袋を冷却して患者の体表と触れさせるだけの低体温療法です。装置が体温を測ったり調節してくれるわけではないので、過冷却になったり合併症が起きやすいです。使用中は15~30分の体温チェックが推奨されています。

ブランケットロールシート
CrtiCool
(引用元URL:belmontmedtech.com)
氷嚢
(引用元URL:amazon.co.jp)



・サーモガード

中心静脈カテーテル外周に冷却水を循環させる装置です。冷却効率はアークティックサンと同等(もしくはそれ以下)と言われています。アークティックサン同様に体温は自動調整されます。血栓形成のリスクがあり、認められている留置期間も4~7日と短いです。最近ではあまり見かけなくなりました。

サーモガード回路



・クーデックアイクール

咽頭後壁にカフを挿入する(ラリンジアルマスクのようなつくり)カフ内の冷却水を循環させることで近くの総頸動脈を冷却する装置です。体の内側から冷やすため合併症は起こりにくいと言われています。蘇生中でも使用が比較的容易です。原則として低体温療法の「導入時のみの使用」とされているので、導入後は別の方法で低体温療法を行うこととなっています。

クーデック
アイクール
冷却カフ
(引用元URL:daiken-iki.co.jp)



・熱交換器(VA ECMO・PCPS)

・KTEK-IV

蘇生で使用するVA ECMOを利用して、人工肺に温度調節した循環水を流し、体温調節します。VA ECMOの治療ついでに体温管理までできます。血液の温度をコントロールできるので冷却効率が高く(早い)、安定した体温調節・維持ができます。他にもCHDFなどの血液浄化装置と組み合わせるKTEK-IVも血液冷却できる装置です。

ECMO回路冷温水槽
KTEK-IV
(引用元URL:manualzilla.com)



・冷却した輸液

4℃に冷却した生理食塩液を2L急速輸液する方法です。体温が約2℃低下し、合併症も目立って起こらないことが報告されてます。心拍再開前では予後の改善はないとのことなので、心拍再開後が良い。





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参考にした資料

[参考書]臨床工学技士集中治療テキスト(日本集中治療医学会,2019)

[指針]AHA(アメリカ心臓協会)2020(日本ACLS協会ガイド)

JRC(日本蘇生協議会)

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