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うまく人工膵臓を使う方法!準備からトラブル対応まで

投稿日:6月 19, 2022 更新日:

人工膵臓とは

術後や糖尿病などの血糖コントロールが難しい患者に対して

自動で血糖値測定してインスリン・グルコース注入を行う装置です。

人工膵臓の Point!
・人工膵臓とは血糖調節装置のこと
・血糖値が低いとグルコース注入、血糖値が高いとインスリン注入
・採血ライン内側の細い針が折れないよう気を付ける
・主なアラームは「脱血不良」「低血糖」「気泡検知」!

人工膵臓
「STG-55」

人工膵臓は日機装社が出しているこちらのベッドサイド型「STG-55」だけです。

膵臓は膵島(ランゲルハンス島)と呼ばれる内分泌組織から血糖を下げるホルモン(インスリン)や血糖を上げるホルモン(グルカゴン)を分泌する機能がありますね。

この機能を装置で置き換えたものが人工膵臓です。

言い換えれば「血糖調節装置」ですね。

人工膵臓 = 血糖調節装置

手動による血糖管理は定期的な血糖測定をするので、血糖値の変動が大きい患者は血糖値のコントロールがうまくできないことがあります。

人工膵臓を用いると連続的に(常に)血糖測定をして、インスリンやグルコースの投与も連続的に(常に)行います。なので、定期的に行う手動に比べて目標の血糖値の到達が早く、さらに目標血糖値でで安定した管理を行うことができます。

実際に人工膵臓を使うにはするためには採血用と注入用のそれぞれルートが必要になります。

採血用のルートと注入用のルートの二つ必要になります。

採血用は装置専用の針を使用しますが、注入用は通常の末梢ルートやCVルートでOKです。

採血用のルートから連続的に血糖値を測定します。

そこで、血糖値が低ければブドウ糖(グルコース)を注入、血糖値を上げる動作をします。

血糖値が高ければインスリンを注入、血糖値を下げる動作をします。

これだけなんです。

人工膵臓の動作
血糖値が低い → グルコース注入
血糖値が高い → インスリン注入

採血ルートは静脈を用います(動脈だと適用外使用になる可能性がある)。

腕からは橈側皮静脈、尺側皮静脈、手背静脈、足からは大伏在静脈、小伏在静脈、首からは外頸静脈を用います。





人工膵臓の適応

人工膵臓は通常の血糖測定が困難な場合に使われます。

糖尿病の患者や手術・外傷などなどの血糖管理が主な適応です。

J043-6 人工膵臓療法 1日で3500点(令和二年)
・高血糖時(糖尿病性昏睡等)における救急的治療
・手術、外傷及び分娩時の血糖管理
・インスリン産生腫瘍摘出術の術前、術後の血糖管理
最高三日間
治療中に他の測定器で血糖を測っても別に算定できない。

などなど





人工膵臓で治療するまでの流れ(準備)

人工膵臓を使って血糖管理するためには、まず「回路のプライミング」を行います。

人工膵臓のプライミング
・消耗品/薬液の準備
→装置の電源ON セルフテスト
→血糖測定回路の組み立て
→注入回路の組み立て
→プライミング準備
→センサエージング(自動)
→ベース校正(自動)
→校正ラインスパン校正
→患者ラインスパン校正
→パラメータ入力
→血糖測定・治療(患者接続)

ここでOne Point!

患者ラインスパン校正の時に留置針から患者ラインを外す時があります。

この時、外したコネクタ部分から細い糸のような針があります。

この糸のような針はは清潔部分です。また、折れたりすると患者から採血できない(脱血不良)ことがあります。

なので、ここの操作は慎重に行ってください。

ざっと説明しましたが、このような工程を踏んで準備をします。

プライミングや薬液は各施設のやり方でしていただければと思います。





人工膵臓の管理(治療中)

人工膵臓を使って治療を開始したら、4時間経過ごとに1回自動校正が入ります。

また、24時間経過で回路交換のアナウンスがでます。回路交換は1日1回です。前もって予定を立てて回路交換を行ってください。

治療中は必要に応じて、「ヘパリン生理食塩液」「インスリン溶液」「グルコース溶液」を追加します。

問題がなければ、基本的に放置すると勝手に治療してくれる装置です。

しかし、症例によっては脱血不良などのトラブルがあります。

ここで治療中によく起こるトラブルをご紹介します。





人工膵臓のトラブル対応

画面で「血糖変化率警報」「血糖下限値警報」が表示されてアラームが鳴ることがあります。

この場合は「低血糖」もしくは「脱血不良」の2通りのトラブルが考えられます。

まずは、「採血ライン」と装置画面の「血糖値のトレンド」を確認します。

血糖値が徐々に下がって、採血ラインに血液が見えている状態はとりあえず血糖測定ができています。

血糖測定できた上で血糖値が低いので患者が「低血糖」になっています。

血糖値がストンと下がって、採血ラインに血液が見えていない状態は「脱血不良」になります。

低血糖の対処

→血流を再開し、血糖値が71以上(数字が赤色→白色)になったら警報リセットし、治療を再開する。(画面が「治療中です」になる)

脱血不良の対処

→採血ラインの折れ曲がり解除、カテーテル位置の変更など脱血不良の原因を解除します。

採血ラインにある糸のような針から採血を行っています。準備段階でも説明したように、この針は折れ曲がらないよう慎重に清潔操作で接続・取り外しします。

その後は血流再開し、血糖値が71以上(数字が赤色→白色)になったら警報リセットし、治療を再開する。(画面が「治療中です」になる)

血流が再開しない場合は採血ラインを留置カテーテルから外し「フラッシング」ボタンを複数回押す。先端から約0.3mLの生理食塩液が出ます。その後は再接続・血流再開し、血糖値が71以上(数字が赤色→白色)になったら警報リセットし、治療を再開する。(画面が「治療中です」になる)

これでも血流が再開しない場合は再穿刺をしてください。その後は再接続・血流再開し、血糖値が71以上(数字が赤色→白色)になったら警報リセットし、治療を再開する。(画面が「治療中です」になる)

アラーム注入ラインの気泡

画面で「注入ライン気泡警報」が表示されてアラームが鳴ることがあります。

この時、治療が停止しているので(グルコース/インスリンの注入が止まっている)低血糖/高血糖の場合は速やかに別の方法で対処し、血糖をコントロールします。

<注入ライン気泡の対処>

注入ラインを患者から外します。

気泡検知器のカバーを外します。この時、「カバー開警報」アラームが鳴るので、アラーム消音を押します。

生理食塩液ポンプ(緑色のポンプ)を矢印方向(正方向)に回して気泡を除去します。

気泡検知器のカバーを閉じます。リセットされない場合は先ほどの作業をもう一度行います。

注入ラインを患者に接続します。

画面の「リセット」「治療」を押します。画面が緑色表示(治療中です)になってることを確認します。





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参考にした資料

[文献]人工膵臓の現状とあゆみ(人工臓器学会,2015)

[文献]人工膵臓(人工臓器学会,2002)

[HP]人工膵臓とは?(日機装株式会社)

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