ECMOとは
「心不全や呼吸不全の患者を対象に体外循環によって血液の酸素化、二酸化炭素の除去を行い、動脈あるいは静脈に送血することで、循環と呼吸の補助を行う心肺補助装置の事」
一般的に
呼吸 の補助目的に「ECMO」
呼吸+循環 の補助目的に「PCPS」
と呼ばれがち。。。
静脈から脱血し、動脈に送血するPCPSの事をVA ECMOと呼んだりします。
混乱しますわ。
今回は用語だけにピックアップして書いてみたいと思います。
ズバリ!正しい呼び方は!
どの呼び方が正しいのか、歴史から調べていくと
静脈脱血・静脈送血をVV ECMO(venovenous ECMO)
静脈脱血・動脈送血をVA ECMO(venoartetrial ECMO)
と呼ぶのが現在の主流のようで、
PCPSの用語は最近呼ばれることが少なくなってきているようです。
(日本と韓国で多く使用されているみたいです)
そもそも、ECMOは「extracorporeal memblane oxygenation」の略で、日本語では「体外式膜型人工肺」という意味です。
すなわち人工肺という名の『物』を示している。
一方PCPSは「percutaneous cardiopulmonary support」の略で、日本語で「経皮的心肺補助」となっており、
いわゆる『方法』を表している。
どの学会も解説に大きな違いはないが、この学会ではPCPS・ECMO、この学会ではECMO、この学会では…。と整理されていない印象を受ける。
ECMOの「人工肺」という部分が呼吸補助だけを目的としているように感じる。
これも罪な話です。
救急医学会や循環器学会など各学会で定義付けはされているものの微妙に違いがある。これも話がややこしくなる要因ではないでしょうか。
さらにはECMO、PCPSの他にも同義語として「ECLS(extracorporeal life support)」という用語も存在する。
これ以上増やさないでくれ(笑)
最後に
今回「用語」だけに触れてみたけど、いかがだったでしょうか。
当院は当直体制なうえ、最近はECMO症例が多く、一人で対応しなければならない時もあります。
自分の知らない部分が目立って、他力本願になってしまうことも、そのせいで治療がうまくいかなかったこともありました。最近でもあります。
ECMOについてまずは最低限の知識を、そして、みんなが周知できるような取り組みが必要に感じます。ECMOのことをブログに書くのは躊躇してましたが、どんどん書いていこうと思います。
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参考にした資料
[参考書]ECMO・PCPSバイブル(各学会,2021)
[参考書]呼吸ECMOマニュアル(2014)
[雑誌]ECMO(INTENSIVIST,2013)
[指針]ELSOガイドラインHP(各学会)
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