CBP CRRT 血液浄化

小児CHDFプライミングの話題

投稿日:4月 7, 2019 更新日:

小児科のある病院では先生も僕らCEも一度は頭を悩ませる、話題ではないでしょうか。

CHDFの回路に血液充填を用いることにより、今では1kgの新生児にもCHDFが安定して開始できる時代になったそうです。

そんな血液充填によるCHDFプライミングについて、お話しようと思います





血液充填なんで必要なの?

循環血液量は人間の体重の約8%(1/13)といわれています。

体重60kgの一般男性の血液量は
60(kg)×0.08=4.8(L)=4800(ml)

体重3kgの赤ちゃんの血液量は
3(kg)×0.08=0.24(L)=240(ml)

となります。(厳密には小児では体重当たりの血液量は多いです)

CHDFの回路内のプライミングボリューム(PV)を生食100mlだとすると、希釈の面では一般男性はそこまで気になりませんが、赤ちゃんだと体重あたりのPVが多いため、このまま治療を開始すると血液がかなり薄くなってしまいます。

プライミングで使用する生食は組成がNaCl(塩化ナトリウム)だけなので、この状態で開始すると、電解質異常からくる痙攣、不整脈や過度の希釈による血圧低下(イニシャルドロップ)が起きてしまい、安全に行えないです。

この希釈のよるリスクを改善したのが、合成血の充填・洗浄による血液プライミングです!!(勝手にそう呼んでます)





血液プライミングの方法(充填)

一般的に各施設で行われている方法は

赤血球濃厚液(RCC)アルブミン製剤(or新鮮凍結血漿(FFP))

を混ぜて合成血を作成する方法です。

通常通りプライミングを行った後、別ルートから気泡が入らないように合成血を回路内に充填します。

その合成血の割合についてですが

ガイドラインで公表されている合成血は
RCC : FFP(or 5%Alb) = 1~3 : 1

となっています。

ちょっとざっくりしてるなー。
と思ったので、他施設で働いている知人に聞いてみると

某大学病院で実際に使用されている合成血は
RCC : 20%Alb = 3 : 2 ~ 4 : 3

違う某大学病院で実際に使用されている合成血は
RCC : 5%Alb = 2 : 1

となっています。

RCCを多めにし、アルブミンを使用する施設が多い印象です。





血液プライミング(洗浄)

血液製剤カリウム値が高く、凝固防止にクエン酸が含まれており、そのためカルシウム値も低いです。これらを患者接続前に除去する目的で、回路内血液に透析を行います。

方法としては
サブラッドBSGを用いて血液流量20~40ml/min、透析液流量500~1000ml/h、5~15分間透析し、血液ガス検査を行い、カリウムや重炭酸などの電解質の確認を行います。
この時、クエン酸は除去され、カルシウムは追加されるので、凝固防止目的にヘパリンを少量追加する場合もあります。

透析を行わない場合は、
K吸着フィルターでRCCを充填(K除去)
100mlあたりメイロン5~10ml(pH調節)
カルチコール5~10ml(Ca補正)
ヘパリン2単位/ml(凝固防止)

で補正し、同様に電解質の確認を行います。





CHDF開始!

洗浄後は患者接続までに回路内を循環させて固まらないようにし、血液ポンプを止めてから患者接続は速やかに行い、接続後は血液ポンプを低流量から開始し、血圧・脈拍を見ながら徐々に目標の血液流量に合わせていくのが、基本的なやり方です。

慣れない操作が多いため、個人的には小さなミスが普段より多く見られる印象です。できるだけ複数人で行いましょう。周りに助けられることが結構ありました。





血液充填の必要な患者とは

PVが循環血液量の10%以上の場合に血液プライミングが必要といわれています。

例えば

体重3kgの患者の血液量は

3(kg)×0.08=0.24(L)=240(ml)

使用する回路・モジュールのPVは

血液浄化装置:ACH-Σ
回路:CHDF-PSG(PV=A側20ml、V側23ml)
膜:UT-01Seco(PV=10ml)
ブラッドアクセス:ベビーフロー(PV=1ml)
Total PV=54ml

循環血液量240×0.1(10%)=24に対して、PVは54なので、血液充填は必要。と判断します。必要ではない場合でも、Hbが低い患者では安全のため血液充填を行うことがあります。





その他の方法

CHDF治療の終了時や定期交換などの際に、回路内に残った血液をプライミングラインから生食で押し出して返血するのが一般的な回収操作ですが、小児だとボリュームが多く、溢水の原因になるので基本的には返血は行わないです。残った回路内の血液はそのまま破棄することになります。

しかし、中には残血をあえて取っておき、回路交換の時に充填する「自己血プライミング」と呼ばれる方法や、別の血液浄化装置で新しい回路と膜を生食プライミングしておき、残血が入っている装置と直列につなぎ、新しい回路に残血を置換する「ドミノ式充填」と呼ばれる方法があります。





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参考にした資料

[参考書]小児急性血液浄化ハンドブック(2013)

[指針]体外循環による新生児急性血液浄化療法ガイドライン(日本未熟児新生児学会,2013)
↑無料で見れます。

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