IABP 補助循環

やさしく「IABPのトリガー」をまなぶ

投稿日:5月 3, 2020 更新日:

IABPのダイアストリックオーグメンテーションとシストリックアンローディングによる効果を発揮するためには適切なタイミング、適切なトリガーを設定しなければなりません。

今回はIABPのトリガー設定についてご紹介します。

IABPトリガー設定のPoint!
・トリガーは「心電図」と「血圧」の2つが主流!トリガーしやすい方を選ぶ
・バルーンの拡張・収縮タイミングは大動脈弁閉鎖(ディクロティックノッチ)と一番血圧が下がる点
・バルーン拡張を1:2にするとタイミングを設定しやすい(設定の戻し忘れに注意!)





拡張・収縮のタイミング

・バルーン拡張のベストなタイミング

「ディクロティックノッチ」と呼ばれる大動脈弁が閉鎖し血圧波形がピクッと上に凸となる点です。心電図上ではT波の山のてっぺんになります。

・バルーン収縮のベストなタイミング

血圧波形上で拡張期圧と収縮気圧がともに下がる点です。心電図上でP波の終わりからR波の始まりの間です。

駆出早期にバルーンを収縮させる「R波収縮」と呼ばれるタイミングもあります。





IABPのトリガー

図は上から心電図動脈圧バルーン圧の波形となってます。

バルーンの拡張と収縮のタイミングはトリガーと呼ばれる方式で切り替えます。

トリガーには種類があり

主に使用されるのは

・心電図トリガー
・動脈圧トリガー

の二つです。

心電図トリガーは心電図を、動脈圧トリガーは動脈圧を見ており、波形を解析してタイミングを決めています。





トリガーの選択

心電図トリガーはR波を見ており、R波よりT波が大きい場合や不整脈などでは誤認識することがあります。

動脈圧トリガーは

・圧トランスデューサ
・光センサー

の二種類の信号入力があり、波形の形とタイミングが若干違います。

心電図と動脈圧の信号入力の違いで大きな問題は発生しませんが、自己圧が小さかったり、うまくトリガーしない場合は心電図トリガーを使用します。





タイミング調整

タイミングは心電図トリガー・動脈圧トリガーで最近のIABP装置は自動設定されますが、合っていない場合は微調整を行います。

タイミングがベストではなく、拡張が早い例、遅い例、収縮が早い例、遅い例を紹介します。



拡張が早い



拡張が遅い



収縮が早い



収縮が遅い

拡張はディクロティックノッチ

収縮は収縮気圧が一番下がる点

を、意識して自分は調整してます。





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参考にした資料

[参考書]臨床工学技士集中治療テキスト(日本集中治療医学会,2019)

[参考書]救急・ICU患者のME機器からみた呼吸・循環管理(2018)

[指針]急性・慢性心不全診療ガイドライン(各学会,2017)

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