NPPV NIV 人工呼吸器

やさしく「NPPVのモード」をまなぶ

投稿日:4月 11, 2020 更新日:

NPPVのモードや設定は機種によって違います。ここでは汎用されているモードについて説明したいと思います。

NPPV設定のPoint!
・PEEPや酸素化を上げたいときはCPAPモードを使う(I型呼吸不全・心不全)
・換気を補助したい場合はS/TモードなどのS(spont)があるモードを使う
・導入時はNPPV画面の「換気量」とSpO2を見ながら設定値を調節する





NPPVのモード

基本NPPVは無呼吸の患者には使用しませんが、ここでは解説するにあたって

一定時間呼吸していない状態を「自発なし」
一定の間隔でされる患者由来の呼吸を「自発」

とします。





CPAP

CPAP(continuous positive airway pressure)モードはPEEPをかけるモードです。

NPPVが必要となる患者は、ほぼ全例で使用します。

心原性肺水腫(うっ血性心不全) では良い適応といわれています。

換気補助は行わないため、十分な換気量が保たれている患者に使用します。





Sモード

S(spont)は自発の吸気を同期(トリガー)して設定した吸気圧まで送気し、同様に呼気も同期し、換気をサポートします。

患者が『吸っている間だけ圧サポート』します。

自発のないときは換気補助を行わないため、呼吸数の少ない患者には注意が必要です。





Tモード

T(timed)は設定した換気回数・吸気時間で強制換気を行います。

患者の呼吸を同期するわけではなく、機械任せの換気補助なので、患者が機械に合わせる換気をします。

自発を無視した換気になります。





S/Tモード

S/Tモードは一言でいうなら「Sモード+Tモード」です。

自発があれば吸気を同期してサポート換気(Sモード)
自発がなければ強制換気(Tモード)

を行います。

主流でよく使われるモードです。





PCV

PCV(pressure control ventilation)は自発の吸気を同期して設定した吸気時間で強制換気します。

自発がないときも強制換気します。

S/Tモードとの違いは「吸気時間が機械任せ」なところです。





NPPVの設定

モードが決定すれば次は設定値です。

患者に合わせた適切な設定を行います。

S/Tモードをモデルに項目を下に記載していきます。

IPAP(吸気圧)
IPAPをあげると換気量が上昇します。同時に不快感が強くなり食道に空気流入や吐き気、嘔吐のリスクも上がります。血圧低下や過換気にも注意します。

EPAP(呼気圧)
いわゆるPEEPのことで、肺胞虚脱予防や酸素化改善、気道抵抗低下による吸気トリガー・呼吸困難感が改善されます。閉塞性換気障害の患者に有効です。IPAP→EPAP時に送気流量が減りますが、ガスは常に送気されています。舌根沈下(いびき)が見られる患者はIPAPではなくEPAPを上げると換気量が増えることがあります。

吸気トリガー
自発呼吸を感知して患者へ送気する機能(トリガー)です。
トリガーの感度を上げすぎると自発以外もトリガーし、吸気と呼気がぶつかるファイティングが起きたりします(オートトリガー)
トリガーの感度を下げすぎると自発で感知されない、感知されにくい状態(アンダーセンス)になり呼吸筋が疲労します。

呼気トリガー
トリガーの感度を上げると吸気時間が短くなります。吸気不足に注意します。
トリガーの感度を下げると吸気時間が長くなります。ファイティングに注意します。

吸気時間
Sモードなどのサポート換気では患者の呼気に合わせるため吸気時間は変化しますが、TモードやPCVなどの強制換気は設定した吸気時間で換気を行います。
自発呼吸と同じくらいにします。
サポート換気でも吸気時間が極端に長い(短い)と最大(最小)吸気時間で制限するため吸気時間を設定できる機種もあります。

換気回数(バックアップ回数)
Tモードでは換気回数、S/TモードやPCVでは最低換気回数(バックアップ換気)になります。

FIO2
高圧配管タイプでは酸素濃度を細かく設定できます。
酸素3L/minの患者ではFIO2が33%程度になります。なので、NPPVのFIO2もそれに近い設定をすると導入前後で大きな差がでません。(酸素マスクなどは1L/min上げるとFIO2は4%程度上がります)





NPPVの疾患別モード

酸素化に問題があるI型呼吸不全、PEEPが必要な心不全にはCPAP

II型呼吸不全や努力呼吸が強い場合は換気補助を目的にS/Tモードで治療します。





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参考にした資料

[参考書]人工呼吸ケアのすべてがわかる本(2014)

[雑誌]酸素療法(INTENSIVIST,2018)

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