apheresis 血液浄化

やさしく「吸着療法(adsorption)」をまなぶ

投稿日:3月 9, 2020 更新日:

吸着療法は単純原理で、施行も比較的簡単ですが、種類が豊富なので膜選択が重要になってきます。

種類は多いですが、疾患ごとに使う吸着膜が決まっているので「間違えないように選ぶ」ことが何より大事かと思います。

そこでカラムの用途をまとめてみたので今回ご紹介します。

吸着療法(adsorption)の Point!
・血液を吸着する「HA」血漿を吸着する「PA」がある
・リポソーバは一回の治療で2個の膜を使うことがある
・IAPPやLCAPなど様々な呼び方があるが、施行方法はHAかPA
・治療頻度の少ない膜もあるので施設で材料調整に気を配る





PEDFPPのような広範囲除去ではなく、吸着材を使って選択的に除去します。

吸着材を用いる方法は三種類あります。

1 血液吸着療法(HA)=直接血液潅流法(DHP)
2 血漿吸着療法(PA)=血漿潅流法(PP)
3 白血球除去療法(LCAP)/顆粒球除去療法(GCAP=GMA)

略語が多いので乱暴にまとめてみました。

LCAP、GCAPでやってることは血液吸着(HA)ですが吸着というジャンルではなく、白血球系細胞除去療法(LRT)というサイタフェレシス、いわゆる血球除去のジャンルに当てはまります。

ここではわかりやすく吸着のジャンルに当てはめて上の三つを解説します。





血液吸着(HA)とは

患者血液を吸着器に通し、還流させる方法です。





血漿吸着(PA)とは

患者血液を血漿分離器で分離し、血漿を吸着器に通し、還流させる方法です。





LCAP/GCAPの方法は血液吸着と同じです。

吸着器を「カラム」と呼んだりします。





吸着器の種類

吸着器を紹介したいと思います。

活性炭による吸着、β2-MG吸着、エンドトキシン吸着、ビリルビン吸着、LDL吸着、免疫吸着、白血球・顆粒球吸着と種類が豊富なのでリストアップしました。



血液吸着(HA)のカラム



血漿吸着(PA)のカラム



LCAPのカラム



GCAPのカラム





セレソーブやイムソーバTR、PHは総称して免疫吸着(IAPP:immunoadsorption plasmapheresis)と呼ぶことがあります。

アフェレシスの適応疾患はこちらでもまとめています。





LA-15システム

リポソーバ(LA-15)を二個もしくはセレソーブを二個使用します、片方のカラムで吸着させ吸着物質が飽和したら賦活液で洗い流し、再利用します。洗い流している間はもう片方のカラムで吸着させ、これを交互に繰り返します。LA-15システムと呼ばれています。

LA-15システムを紹介しましたがリポソーバやセレソーブは通常のPAでも施行できます。この時、リポソーバは大きなカラム(LA-40)を使用します。





HAとPAを分ける理由

自分が一年目の頃にわざわざPAとHAを分けることが不思議に感じて全部HAでよくね?と思っていました。調べてみると血液の損傷が少ないものは血液吸着、生体適合性が良くないものを血漿吸着しています。PAで使うカラムをHAで使うことによる安全性は確保されていません。





オススメ関連記事

アフェレシス  はこちら

アフェレシスの適応疾患  はこちら

抗凝固剤  はこちら

その他の記事  はこちら(HP)





参考にした資料

[参考書]アフェレシス療法ポケットマニュアル(2012)

[参考書]アフェレシスマニュアル(日本アフェレシス学会,2010)

-apheresis, 血液浄化

Copyright© 臨床工学技士の ななめ読み ななめ書き , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.