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酸素ボンベのこと(残量計算)

投稿日:10月 20, 2020 更新日:

ガスボンベは酸素投与中の搬送時や緊急時など一時的にいろんな場面で使用されます。

今回は酸素ボンベに焦点を当てて説明したいと思います。

知らないと困る「残量の計算」もできるだけわかりやすく今回お伝えしようと思います。





酸素ボンベ

医療現場では酸素のガスボンベがよく使用されます。

まずはこの酸素ボンベを理解すると他のボンベも理解しやすいです。





酸素ボンベの使用方法

流量計を先に取り付けます。

流量を「0」にしておきます。

ガスボンベを「閉」から「開」にします。

※ここでガスが漏れなければ流量系がしっかり取り付けられています。

※流量計を取り付ける前にガスボンベを開けると15MPaの高圧でブシュ―っと大量の酸素ガスが放出されます。酸素は助燃性でもあるので危険です。

あとは酸素チューブをつけ、流量計でガスの流量を調節します。





酸素ボンベの残量

理論詰めだと退屈なので、一瞬で酸素ボンベ残量を計算できる方法を教えます。

圧力ゲージを見ます。

よく見かけるこのタイプの酸素ボンベは15MPaで500Lの酸素が入っています。

酸素量と圧力は比例するので

15MPa = 酸素500Lくらい
10MPa = 酸素320Lくらい
5MPa = 酸素160Lくらい

となります。

このように、覚えてしまった方が早いですが、実際の計算方法は下の方に書いています。(後述)

酸素ボンベが満タン(500L)

ここで酸素の流量が2L/minだと、酸素が使用できる時間は

500÷2=250

酸素ボンベを使用できる時間は「250分」となります。

早見表を載せておきます。



人工呼吸器の酸素使用量

配管タイプのアタッチメントを酸素ボンベに取り付けると人工呼吸器に使用できます。

人工呼吸器の酸素使用量は「換気量」と換気量内の酸素の割合「FIO2」で決まります。

換気量 × FIO2 = 酸素使用量

例)分時換気量が8L/min、FIO2が0.5(50%)

8 × 0.5 = 4 L/min

酸素流量(使用量)は4L/minなので、酸素ボンベが満タン(500)だとすると、酸素が使用できる時間は

500 ÷ 4 = 125

酸素ボンベを使用できる時間は「125分」となります。

酸素ボンベがあればコンプレッサー内蔵の人工呼吸器で使用ができます。

コンプレッサーが内蔵されていない人工呼吸器もあります。その場合は空気のボンベも必要になります。

空気ボンベ

他のボンベも紹介します。





ガスボンベの種類

ガスボンベの種類は事故防止のため色で区別されます。



ガスボンベの色



色だけでなく、バルブの形状も違います。ヨーク型やおねじ型などがあります。これも事故防止のため、法律で決められています。



ガスボンベの満タン時の容量は大きさで決まります。

上で説明した酸素ボンベは、ガスボンベの中では小さい方で、満タン時500Lになります。

ボンベ本体が大きくなると中の容量は1500L、6000Lと多くなります。

見た目で分かる人もいますが、ボンベ本体に刻印があるため、この表記で確認できます。

O2 ボンベの種類
V 3.5 内容積
FP 14.7M 最高充填圧力

ガスボンベ残量は計算で算出すると本来は以下の式になります。

ボンベ内容積[L] × ボンベ内圧力[MPa] × 10 = ボンベ残量[L]
※1MPa=10.2kgf/cm2(気圧)





酸素ボンベの保管方法

酸素ボンベは倒れてバルブが折れたり破損すると高圧のガスがものすごい勢いで出ます。

なので、基本は鎖で倒れないよう固定したり、ケースに入れます。



ボンベを持ち出して置く場所がない場合は、横に倒して置きます。

ボンベを立てて置くと倒れる可能性があります。

亜酸化窒素や二酸化炭素は中身が液体(液化ボンベ)のため横に倒したらバルブ部分が凍るため、横に倒しません。



保管場所は

風通しの良い場所
充填容器と残ガス容器などの区別可
周囲2m以内に引火性物がない
常に温度が40℃以下
転倒を防止する措置があること

と法律で決められています。



酸素ボンベは完全に使い切らず、少し残す程度が良いです。

完全に空っぽにすると中に空気が入り、同時に湿気も入り、ボンベ内にサビができてしまいます。

交換時のことも考慮し、酸素ボンベはもったいぶらず少し残した状態で交換するほうが望ましいです。

ちょこっと余談ですが、

酸素ボンベは黒色なのに対し、酸素の配管は緑色になっています。二酸化炭素ボンベは緑色なのでややこしいですね。

ガス配管は「医療法」で規定しているのに対し、ガスボンベは「高圧ガス保安法」で決められています。それぞれ規定している法律が違うため、このような色の違いが生じます。

ここらへんの細かい話、配管設備や圧縮空気、合成空気、JIS規格について説明したいですが、また後日解説します。





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参考にした資料

[参考書]医用機器安全管理学(臨床工学講座,2015)

[参考書]臨床工学技士集中治療テキスト(日本集中治療医学会,2019)

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