低酸素症にはいろいろ種類があって、「○○性低酸素症」という言葉がたくさんあります。
よくあるのが SpO2 低下で酸素投与をする低酸素血症性低酸素症がありますが、他にもたくさんあります。
低酸素症=低酸素血症というわけではないので、そこら辺をかみ砕いて説明していきたいと思います。
低酸素症と低酸素血症の違いのPoint!
・酸素バランスに必要なものは心拍出量(CO)、Hb(ヘモグロビン)、酸素飽和度(SaO2)、酸素消費量(VO2)の4つ!
・普段パルスオキシメータ(サチュレーション)で見てるのは動脈血酸素飽和度(SaO2)だけ!
低酸素症の種類
生体内の酸素運搬・消費のメカニズムがわかれば病態が理解しやすいです。
書き連ねていくと
肺で大気から血中に酸素が移動します
血中を酸素化(SaO2)します
酸素はヘモグロビン(Hb)とくっついて移動します
移動するためには心拍出量(CO)が必要です
全身の組織に移動したら酸素を消費します(VO2)
また肺で血中を酸素化します。
これを繰り返します。
このメカニズムから病態を分類すると
1 SaO2低下による低酸素症
2 Hb低下による低酸素症
3 CO低下による低酸素症
4 VO2による低酸素症
5 ほんとに低酸素症?
になります。
SaO2低下による低酸素症
最初に少しお話した低酸素血症からなる低酸素症です。
血中への酸素の取り込み障害のことです。
いわゆる呼吸不全が該当します。
SpO2はパルスオキシメータで測ったSaO2のことで
基本「 SpO2 = SaO2 」になります。
Hb低下による低酸素症
酸素を運ぶために必要なヘモグロビンが少ないことから起こる低酸素症です。
出血や貧血が該当します。
血液検査で分かります。
CO低下による低酸素症
酸素を全身に送るための心拍出量の低下から起こる低酸素症です。
要するに低還流が要因なので
心疾患や塞栓症が該当します。
四肢や皮膚、臓器の部分ごとの還流も診る必要があります。
臨床所見や心拍出量測定、超音波検査、造影CTで判断します。
VO2による低酸素症
組織の酸素消費量異常で起こる低酸素症です。
敗血症やミトコンドリア異常が該当します。
臨床所見や乳酸値で判断します。
ほんとに低酸素症?
SpO2の低下がみられない低酸素症です。
一酸化炭素中毒が代表的で酸素が少なくても一酸化炭素が多いとSpO2が高く表示されます。
一酸化炭素中毒やメトヘモグロビン血症などが測定異常に該当します。
採血して検査します。
かなりざっくりですが以上になります。
低酸素症は呼吸器の問題だけではないんですね。
学術的にはそれぞれ「○○性低酸素症」という名前がありますが、
書物によって名前が違うので今回は自分の言葉で書きました。
オススメ関連記事
酸素療法 はこちら
SpO2 はこちら
循環動態 はこちら
その他の記事 はこちら(HP)
参考にした資料
[参考書]人工呼吸ケアのすべてがわかる本(2014)
[雑誌]酸素療法(INTENSIVIST,2018)
[参考書]ECCE(Edwards,2015)
↑無料で見れます。