AEDの普及によって誰でも院外で除細動を行うことができるようになりました。
既往歴や不整脈を起こす可能性のある患者にはICD(植込み型除細動器)が植え込まれています。
AEDより迅速に除細動を行うことができます。
そこで、どういう風に作動するのかイマイチわからないICDについてご紹介します。
ICDの Point!
・除細動が必要な致死的不整脈(VT,Vf)が適応
・不整脈に対し「除細動」もしくは「抗頻拍ペーシング」を行う
・ペーシング機能も付いている
・ノイズを誤検知して除細動する可能性もあるのでセンシング設定に注意する
ICDとは
植込み型除細動器(ICD:implantable cardioverter defibrillator)は致死的不整脈(VT,Vf)に使用します。
ICDなどの植込み型デバイスは他にもペースメーカーやCRTなど種類があります。
ICDは心室頻拍(VT)や心室細動(Vf)などの致死的不整脈が適応です。
植込み型のAEDのようなものと考えてください。
不整脈発生時にICDが除細動と抗頻拍ペーシング(ATP)をすることで正常な刺激伝導に戻します。
除細動機能
ICDの除細動はDC(除細動器)と同様に電気ショックを行います。
DCは体外からパドル(パッド)で行うとき200J(ジュール)以上必要ですが、ICDは心室内に電極があり、心臓に直接電気を流すため30J程度で除細動が可能です。
抗頻拍ペーシング機能
抗頻拍ペーシングはVTの頻拍よりさらに早いリズムでICDが電気刺激を送ります。
すると抗頻拍ペーシング終了時に正常な刺激伝導に戻ります。
ペーシング機能
VTとVf停止時に徐脈になることがあります。バックアップとしてペーシング機能があります。ペースメーカーと同様です。
ICDの設定
本体でVT時のレートとVf時のレートを設定することで、ICDの治療プログラムが決定されます。
基本は「心拍数」でVT、Vfを感知しています。
ICD設定例
therapy
・VT zone : 160~200 bpm【burst pacing】
・Vf zone : 200~500 bpm【Defib 30 J】
brady pacing
・mode : VVI
・lower rate : 40 ppm
上の設定では脈拍数が160以上でVTと認識し抗頻拍ペーシング、200以上でVfと認識し除細動(30J)を行います。
バックアップとして40bpmでVVIを行います。
ICDは作動時に心電図を記録しているので、後で見返すことができます。
ノイズによる誤作動
ICDとノイズ
ICDが電気ノイズをVfと誤認識して心臓が通常通り動いていても除細動してしまうことがあります。
ノイズをVfと誤認識させないようセンシングの設定は重要になってきます。
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心臓再同期療法(CRT) はこちら
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心電図・12誘導心電計 はこちら
その他の記事 はこちら(HP)
参考にした資料
[参考書]ペースメーカー心電図が好きになる(2014)
[参考書]レジデントのためのこれだけ心電図(2018)
↑めちゃくちゃわかりやすいです。書いた人を胴上げしたいです。