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やさしく「輸液ポンプ」をまなぶ

投稿日:10月 17, 2020 更新日:

輸液ポンプは院内では毎日見かけ、触る機会も多いと思います。

慣れ親しんだ輸液ポンプですが、実はトラブルにつながる「落とし穴」があります。

今回はそんな輸液ポンプについてご紹介します。

輸液ポンプの Point!
・一番気をつけるのはクレンメ操作(自然滴下を防止)
・ルートに分岐があればすべての分岐に輸液ポンプをつけるのが好ましい(逆流、空気誤送を防止)
・単独ルートだとすごく使いやすい





輸液ポンプは自然滴下に比べ、設定した流量(誤差10%以内)で投与が可能なので高カロリー輸液や、高濃度薬剤、化学療法剤などの投与に適しています。

輸液の記事はこちら

一定方向にチューブをしごくことによって薬液を送り出す構造です。

輸液ポンプは流量調整によって

・滴下数タイプ
・容積タイプ

があります。

輸液ポンプの液化センサーがついていれば滴下数で調整するタイプです。

輸液ポンプの流量制度は±10%以内です。

滴下数タイプ

流量を設定し、滴下の数で投与量を計算し、流量を調節するしくみです。

一般回路は20滴で1ml

小児用回路や定量筒付回路は60滴で1ml

と決まっています。

滴下数は滴下センサーを取り付けてでカウントします。滴下センサーを正しく装着しないとアラームが発生します。

滴下数タイプを使う前は上記の回路タイプを設定します。設定を間違うと滴下アラームは鳴りませんが、流量を間違って積算してしまうので流量誤差が生じます。

容積タイプ

流量を設定し「専用の回路」を使うことで回路内の「薬液量×ポンプ」をしごいた回数で投与量を計算するしくみです。

滴下数タイプに比べて流量制度は高いです。

専用ではない別社製、別用途の回路を使うと計算した値と実際の投与量に差が生じてしまいます。





輸液ポンプの使い方

1 回路(輸液セット)を先端まで投与する薬液で満たす。(プライミング)

2 回路を患者に接続する。

3 回路を輸液ポンプにセットする。

4 クレンメを開ける 「このタイミングが大事」

5 予定量、流量を設定し、開始ボタンを押す。

輸液がスタートします。

「このタイミングが大事」といいましたが、輸液ポンプをつける前にクレンメを開けてしまうと自然滴下(フリーフロー)が起こり全開で輸液されてしまいます。なので、 正しい順序で輸液ポンプに回路をセットします。輸液ポンプに回路をセットしてしまえば開始ボタンを押さない限り送液されないのでフリーフロー現象は起きません。

クレンメも一緒に輸液ポンプの中にセットして、自然滴下(フリーフロー)を防止する機能を持った輸液ポンプもあります。(ニプロ社製)





閉塞検知器

輸液ポンプには閉塞検知器が取り付けられています。

回路内の圧力を測っているわけではなく、回路先端が閉塞したうえで輸液ポンプを動作させるとチューブに圧力がかかり膨らんできます。

このチューブのふくらみをホール素子で検出して閉塞検知アラームが作動します。

よくあるのが回路先端にあるクレンメや三方活栓の開け忘れです。

※注意
回路先端に閉塞が起こっても輸液ポンプやシリンジポンプがついていない別回路があるとチューブに圧力がかからないため閉塞検知器が作動せずに別回路に送液されてしまいます。すべての回路に輸液ポンプ・シリンジポンプを使用することが望ましいです。





気泡検知器

チューブ内の気泡を超音波で検出し、ポンプを止める気泡検知機能がついています。

この気泡検知機能で輸液ポンプより手前の気泡を検知し、気泡誤送を防ぎます。

※注意
輸液ポンプより先にある別回路の気泡を検知することはできないため、別の自然滴下回路で落差による気泡誤送する可能性があります。すべての回路に輸液ポンプ・シリンジポンプを使用することが望ましいです。





経腸栄養ポンプ

静注用ではなく経腸用の輸液ポンプがあります。経腸栄養ポンプの構造は通常の輸液ポンプと似たようなもので、経腸栄養ポンプ専用の回路を使用します。

見た目は似てますが、回路と用途が違うので、静脈栄養と経腸栄養でポンプを間違えないようにしましょう。

静脈栄養は輸液ポンプ。経腸栄養は経腸栄養ポンプです。

経腸栄養の記事はこちら





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参考にした資料

[参考書]医用治療機器学(臨床工学講座,2018)

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