VAD 補助循環

やさしく「補助人工心臓(VAD)」をまなぶ

投稿日:5月 9, 2020 更新日:

補助人工心臓(VAD)とは

心不全患者に対して心機能を機械的に補助する装置」のこと。





VADの適応

VADの適応は

「急性心不全」や「慢性心不全の急性憎悪」

などの末期重症心不全であり、

拡張型心筋症、肥大型心筋症(拡張相あり)、冠動脈疾患などが多いです。

「軽症の心不全(レベル4~7)」もしくは「致死的な心不全(レベル1)」では少ないですが、薬剤や処置でなんとか循環動態が安定しているもしくは悪くなる症例でVADを使用します。(主にレベル2、3) ↓参考

植え込み前の患者プロファイル
 レベル1 10% 重度の心原性ショック
 レベル2 39% 進行性の衰弱
 レベル3 48% 安定した強心剤依存
 レベル4 4%  安静時症状
 レベル5 0%  運動不耐症
 レベル6 0%  軽労作可能状態
 レベル7 0%  安定状態
 (J-MACSの調査)





VAD治療の流れ

上の図がVADの一般的な流れです。

離脱できるタイミングがあれば離脱を試みますが、難しいようであれば植込み式のLVADだけで管理できないか考えます。

VADには「体外式VAD」と「植込み式VAD」の二種類があります。

植込み式VADまで移行すれば通院が可能となります。

治療の進行とともに心臓の移植申請も同時進行で進めます。

近年は日本でも永久使用目的のVAD(DT)が適応になり、VADの装着患者は増えると言われています。

VADは使用目的でBTTやBTBなどの略語が用いられますが、略語だと治療の流れを伝えずらいので上の図では使用してません。下に書いておきます。

VADの使用目的
・心機能回復へ=Bridge to Recover(BTR)
・移植へ=Bridge to Transplantation(BTT)
・永久使用=Destination therapy(DT)
・適応判定へ=Bridge to Candidacy(BTC)
 -移植適応判定までのブリッジ使用
体外式から植込型へ=Bridge to Bridge(BTB)
・治療方針決定まで=Bridge to Decision(BTD)





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参考にした資料

[参考書]必携! 在宅VAD管理 植込型補助人工心臓による治療の進歩とQOLの向上(日本人工臓器学会,2019)

[雑誌]補助人工心臓の進歩と課題(医学のあゆみ,2018)


[指針]重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン(各学会,2021)

[指針]急性・慢性心不全診療ガイドライン(各学会,2017)

[総説]補助人工心臓の現状と今後の課題(日集中医誌,2020)

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