インペラーとは
こんなカテーテルのことです。
国内は「CP」と「5.5」の2種類あります。
ひとことでいうと「左心室→大動脈に送血するポンプ内蔵のカテーテル」です。
流入部の左心室から脱血し、吐出部の大動脈へ送血することで心機能の補助を行います。
圧で補助するIABPに対して、インペラーは流量を補助でき、補助人工心臓(VAD)と同等の補助機能を持つ装置です。カテーテルなので短期的な使用になりますが、離脱困難な時は長期的な補助人工心臓(VAD)に移行することも考えます。
ECMOと併用した「エクペラ」と呼ばれる使い方をすることもあります。話題ですね!
インペラーは2種類!
インペラーは「CP」「5.5」の2種類!
CPは経皮的に早く挿入できるのが特徴ですね。最大流量は3.7L/minと言われています。
5.5は手術室で外科的挿入になりますが、高い流量をだせるのが特徴ですね。
エクペラ(インペラー+エクモ)の時はベント効果が目的なので、一般的にCPがよく使われます。
インペラーの種類と性能
(A×1/2)+E+(B×1/2)=有効な大動脈弓の幅
A:上行大動脈の内径
B:下行大動脈の内径
E:中心線での大動脈弓の幅
インペラーの適応
2016年に「心原性ショック等の薬物療法抵抗性の急性心不全」に対する治療として国内に臨床使用が開始されました。
薬が効かない(薬剤抵抗性)処置をしても治らない(難治性)心不全や心停止した患者に緊急で導入します。
他にもPCPS使用時のベント(後負荷軽減)目的で使用します。「エクペラ」
詳しくはこちら(補助人工心臓治療関連学会協議会 インペラ部会:適正使用指針)
急性心不全にはいろんな評価方法がありますが最もメジャーなCS分類、Nohria-Stevenson分類、Forrester分類がよく用いられます。
[CS分類] 収縮期血圧90mmHg以下
[Nohria-Stevenson分類] うっ血、末梢循環不全
[Forrester分類] CI 2.2以下、PAWP 20mmHg以上
他にも血中乳酸値2mmol/L(18mg/dL)以上、乏尿、など
詳しくはこちら
インペラーの禁忌
インペラーは大動脈弁を通過する設計になっているため、大動脈弁に異常がある疾患には禁忌になってます。
【絶対】大動脈機械弁、大動脈弁閉鎖不全(中等度以上)
大動脈機械弁・・・逆流したり機械弁が破損する可能性があるから
大動脈弁閉鎖不全(中等度以上)・・・左室が密閉できないので循環補助ができない
また、大動脈「生体弁」は禁忌となってませんが、インペラー本体が破損するといった報告があります。使用時は気を付けるよう注意喚起がされています。
他にも「PCI中のみの補助には使用しないこと」と言われています。
【注意】左室内血栓、大動脈弁の狭窄/石灰化、動脈が極端に蛇行・屈曲、末梢動脈閉塞性疾患、右心不全
左室内の血栓・・・血栓をインペラーが吸い込んでポンプが停止、もしくは末梢にとび、末梢塞栓の危険がある
大動脈弁の狭窄/石灰化・・・挿入時にインペラーが大動脈弁を通過できず、左室に入らない可能性がある
動脈が極端に蛇行・屈曲・・・挿入時にインペラーが入らなかったり進まない可能性がある
末梢動脈閉塞性疾患・・・インペラーの挿入や留置ができない可能性がある
右心不全・・・右室から左室に血液が流れないとインペラーが脱血できず適切な循環補助ができない可能性がある
心臓が止まったまま動かない症例や低酸素脳症、予後不良な症例などはインペラーを使用しないことも選択肢に入ります。注意して適応を選びます。
詳しくはこちら(補助人工心臓治療関連学会協議会 インペラ部会:適正使用指針)
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心不全 はこちら
その他の記事 はこちら(HP)
参考にした資料
[参考書]臨床工学技士集中治療テキスト(日本集中治療医学会,2019)
[指針]急性・慢性心不全診療ガイドライン(各学会,2017)