apheresis 血液浄化

神経疾患に対するアフェレシス

投稿日:2月 2, 2020 更新日:





多発性硬化症(MS)/視神経脊髄炎(NMO)

・概要

抗アクアポリン4(AQP4)が原因と思われる抗体中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患。
中枢神経系脱髄性疾患は他に
バロー同心円硬化症(BCS)
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
急性横断性脊髄炎(ATM)
中枢末梢連合脱髄症(CCPD)
特発性視神経炎(ION)
HTLV-1関連脊髄症
があり鑑別診断が必要です。

・診断

MSの診断
臨床的発作の症状やMRIで中枢神経病変、髄液の異常所見などから診断する。

NMOの診断
脊髄MRI病変、AQP4抗体陽性などから診断する。
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
 イムソーバTR,PH

・除去ターゲット

IgG1、IgM(MS)
IgG1,3(NMO)

・アフェレシスの位置づけ

ステロイドパルスが第一選択で効果が見られなければPEを行う。DFPP、IAPPは症例報告で有効性はあるがPEはRCTで有効性が証明されている。BCS、ADEM、ATM、CCPDでの第一選択はステロイドパルスであり抵抗例でPE、PAが有効の報告がある。
多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017
標準的神経治療:視神経脊髄炎(NMO)
免疫性神経疾患に対するアフェレシス療法の現況2018
HTLV-1関連脊髄症(HAM)診療ガイドライン2019

・保険適応

月7回×3
(MSとNMO以外の疾患は保険適応ではない)





ギラン・バレー症候群(GBS)/フィッシャー症候群(FS)

・概要

先行感染に伴う感覚障害・弛緩性運動麻痺がおこる多発根神経炎。神経伝導検査で脱髄型(AIDP)と軸索型(AMAN)に分類される。ギラン・バレー症候群の亜型がフィッシャー症候群と呼ばれている。

・診断

脳脊髄液検査や神経伝導検査、MRIなどの検査を行う。鑑別診断(特にCIDP)も必要である。

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
 イムソーバTR,PH

・除去ターゲット

IgG1,3
IgM
IgA

・アフェレシスの位置づけ

PE・DFPP・PAとIVIGが行われる。どちらもほぼ同等の治療効果が得られる。副腎皮質ステロイド薬の単独使用は無効といわれている。PE基本的に置換液はアルブミンを用いる一回の処理量は40~50ml/kg、2週間に4~5回(重症例でも6回以上の必要はない)、IAPPはPV1500~2000という記載がある。フィッシャー症候群は自然回復が良好でありIVIGやPEが効果を速めるという根拠はない。
ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群診療ガイドライン2013

・保険適応

ギラン・バレーに月7回×3
Hughes重症度分類4以上
重症例では3以上でもよい





慢性炎症性脱髄性(神経炎)ポリニューロパチー(CIDP)/多巣性運動ニューロパチー(MMN)

・概要

2か月以上にわたる原因不明の筋力低下・感覚障害を末梢神経疾患。免疫異常と考えられている。CIDPでは遠位部神経終末と神経根に、MMNは神経幹の中間部に病変がみられる。

・診断

末梢神経伝導検査で脱髄所見から脳脊髄液検査、MRI、末梢神経生検などの検査を行う。
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
 イムソーバTR,PH

・除去ターゲット

IgG4

・アフェレシスの位置づけ

CIDPでは副腎皮質ステロイド、経静脈的免疫グロブリン療法(IVIG)、PEが第一選択であり、間に優劣はない。PA、DFPPがあるが一番エビデンスが強いのはPEである。多巣性運動ニューロパチーでは免疫グロブリンが第一選択であり、PEの有効性は確立していないが強く推薦されている。
慢性炎症性脱髄性(神経炎)ポリニューロパチー診療ガイドライン2013
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー・多巣性運動ニューロパチー

・保険適応

CIDPは月7回×3
MMNの適応なし





Crow-Fukase症候群

・概要

クロウ・深瀬(Crow-Fukase)症候群はPOEMS症候群・高月病・PEP症候群とも呼ばれている。形質細胞単クローン性増殖から多発神経障害や多彩な症状があらわれる。

・診断

多発ニューロパチー、血清VEGF 1000 pg/mL以上、血清or尿中M蛋白陽性などの診断項目がある。
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)

・除去ターゲット

VEGF(血管内皮増殖因子)

・アフェレシスの位置づけ

血漿交換が有効という症例報告がある。
血症浄化療法が有効であったIgG-POEMS(Crow-Fukase)症候群

・保険適応

なし





M蛋白血症に伴う脱髄性多発ニューロパチー

・概要

M蛋白を伴う末梢神経障害の代表的なものとして原発性アミロイドーシス、Crow-Fukase(POEMS)症候群、抗ミエリン関連糖蛋白抗体を伴う脱髄性ニューロパチーが挙げられる

・診断

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
 イムソーバTR,PH

・除去ターゲット

IgG
IgA
IgM

・アフェレシスの位置づけ

抗MAG抗体、IgG、IgA、IgM除去目的でPE・DFPPを行うことがある。多発性骨髄腫時にはPAも考慮し、エビデンス低いが推奨されている。合併している疾患と兼ね合わせて臨機応変に治療計画をする。
M蛋白血症と末梢神経障害

・保険適応

なし





重症筋無力症(MG)

・概要

自己抗体が神経筋接合部の刺激伝達に障害されて筋力低下が起こる疾患。

・診断

眼瞼下垂、眼球運動障害、などの症状からアセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性、筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性の検査所見や神経筋接合部障害の生理学的所見から診断する。
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
 イムソーバTR

・除去ターゲット

IgG1,3,4

・アフェレシスの位置づけ

全身症状で使用を考慮し、クリーゼ時には有効という報告がある。
重症筋無力症診療ガイドライン2014

・保険適応

月7回×3
発症5年以内or胸腺摘出術、副腎皮質ホルモン剤効かない





ランバート・イートン筋無力症候群(LEMS)

・概要

抗P/Q型VGCC抗体が検出され、体幹・四肢の筋力低下を起こす傍腫瘍性神経症候群と推察されている。重症筋無力症(MG)のように眼症状のみが出現することは殆ど無い

・診断

血液検査では自己抗体(抗VGCC抗体)の有無、筋電図検査、画像検査(レントゲン・CT) などで検査する。

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)

・除去ターゲット

IgG4

・アフェレシスの位置づけ

根治治療はなく対症療法がおこなわれる。免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)やPEは短期的な効果を示す。

・保険適応

なし





傍腫瘍性神経症候群(PNS)

・概要

免疫介在性の腫瘍に関する神経筋障害。抗体検索から分類される。

・診断

中枢神経疾患、末梢神経疾患、神経接合部・筋疾患などの神経症候があげられる

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
 イムソーバTR,PH

・除去ターゲット

抗 VGKC 複合体抗体関連
抗LGI1抗体陽性 →IgG4>IgG1
抗Caspar2抗体陽性 →IgG4>IgG1
抗NMDAR抗体陽性 →IgG1
抗AMPA受容体抗体陽性 →不明
抗GABAB受容体抗体陽性 →IgG1

・アフェレシスの位置づけ

ステロイドパルスやIVIGが比較的有効とされている。アフェレシスのエビデンスは乏しく弱く推奨されている。
傍腫瘍性神経症候群-update-

保険適応

なし





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参考にした資料

[参考書]アフェレシス療法ポケットマニュアル(2012)

[参考書]アフェレシスマニュアル(日本アフェレシス学会,2010)

[HP]令和2年度診療報酬改定について(厚生労働省)

[HP]令和2年度診療報酬点数 処置(今日の臨床サポート)
↑厚労省の診療報酬改定内容がわかりやすくまとまっているサイトです。

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