apheresis 血液浄化

皮膚疾患に対するアフェレシス

投稿日:2月 2, 2020 更新日:





天疱瘡

・概要

自己抗体が皮膚・粘膜に沈着する自己免疫疾患

・診断

弛緩性水疱、びらん、ニコルスキー現象陽性などの症状と病理組織学的所見や免疫学的所見で診断する。
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)

・除去ターゲット

IgG

・アフェレシスの位置づけ

治療の第一選択はステロイドです。効果がない場合は免疫抑制剤、ガンマグロブリン静注療法、ステロイドパルス、血漿交換療法(通常2~3回/週、DFPP/遠心分離)を行うとされている。血漿交換療法でステロイドの減量も可能である。
天疱瘡診療ガイドライン日本皮膚科学会

・保険適応

週2回3か月
(厚生省天疱瘡スコア中等度以上は+3か月)





類天疱瘡(水疱性 後天性表皮水疱症)

・概要

正確には表皮に自己抗体が沈着し水疱症を生じる自己免疫疾患で類天疱瘡と後天性表皮水疱症に分類される

・診断

瘙痒性紅斑や水疱、びらんなどの症状と病理組織学的、免疫学的な検査所見から診断を行う。
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)

・除去ターゲット

IgG

・アフェレシスの位置づけ

重症度分類で中等度以上はステロイドを第一選択とし、効果がない場合は免疫抑制剤や免疫グロブリン静注療法、ステロイドパルス、血漿交換などを行うとされている。ステロイドと併用することでステロイドの減量も可能である。
類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドライン日本皮膚科学会

・保険適応

週2回3か月
(厚生省天疱瘡スコア中等度以上は+3か月)





中毒性表皮壊死症(TEN)/スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)

・概要

スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)は医薬品や感染により、発熱と粘膜・口唇の粘膜疹、皮膚の紅斑や壊死性びらん・水疱が起こる疾患。紅斑や壊死が広範囲のものを中毒性表皮壊死症(TEN)と呼ぶ。SJSからTENに進展することが多い

・診断

SJS
広範囲で重篤な粘膜病変や皮膚の紅斑、表皮の壊死性障害に基づくびらん・水疱。軽快後には痂皮、膜様落屑。面積は体表面積の10%未満。発熱などの症状と病理組織学的所見、鑑別診断を行う。
難病情報センター(SJS)

TEN

広範囲の紅斑、体表面積の10%以上の水疱・びらん、発熱などの症状と鑑別診断から診断を行う。
難病情報センター(TEN)

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)

・除去ターゲット

TNF-α
可溶性Fasリガンド

・アフェレシスの位置づけ

治療としてまずは被疑薬を中止し皮膚科専門医による入院治療が推奨される。薬物療法としてステロイドが第一選択とし、免疫グロブリン大量静注療法でも効果が見られない場合はPEを行うとしている。主にDFPPよりPEの方が選択され2~3回/週で隔日、連日の施行が一般的である。2回の施行で効果がみられることが多いが、効果が見られない場合は追加する。漫然の継続は避ける。出血傾向・感染症対策でFFPを置換液にすることが多い(凝固因子、免疫グロブリンの補充)。重篤な出血傾向の場合は行わないとされている。
重症多形滲出性紅斑 スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症 診療ガイドライン 日本皮膚科学会
重症多形滲出性紅斑 スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症 診療ガイドライン 重症多形滲出性紅斑ガイドライン作成委員会

・保険適応

8回





蕁麻疹

・概要

紅斑や浮腫が病的に表れる疾患

・診断

痒み + 紅斑が24時間以内に出没すればほぼ蕁麻疹と考えてよい

・アフェレシス

血漿交換(PE)

・除去ターゲット

・アフェレシスの位置づけ

薬剤抵抗性の難治例にPEが奏功したという報告あり。
蕁麻疹診療ガイドライン2018日本皮膚科学会

・保険適応

なし





膿疱性乾癬

関節症性乾癬患者

・概要

発熱、全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する疾患。再発を繰り返すのが特徴。

・診断

発熱、全身倦怠感、潮紅皮膚面に無菌性膿疱が多発or融合し膿海形成などの症状や病理組織学的所見をを繰り返し生じる。
難病情報センター

・アフェレシス

顆粒球除去療法(GCAP、GMA)
 アダカラム

・除去ターゲット

顆粒球、単球

・アフェレシスの位置づけ

急性期では原因薬剤を中止し、ステロイド投与・呼吸管理を行う。薬剤療法が無効の中等度以上の患者にGCAPを考慮する。RCTは行われていないため十分な根拠はないが、有効となった症例報告あり。小児は25kg以上からの施行が望ましい。顆粒球数2000/mm3以下or感染症を合併・疑いのある患者には使用しない。
膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2014年度版 日本皮膚科学会

・保険適応

週1回×5 膿疱性乾癬

週1回×5×2(クール) 関節症性乾癬患者





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参考にした資料

[参考書]アフェレシス療法ポケットマニュアル(2012)

[参考書]アフェレシスマニュアル(日本アフェレシス学会,2010)

[HP]令和2年度診療報酬改定について(厚生労働省)

[HP]令和2年度診療報酬点数 処置(今日の臨床サポート)
↑厚労省の診療報酬改定内容がわかりやすくまとまっているサイトです。

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