抹消閉塞性動脈疾患(PAD)
○閉塞性動脈硬化症(ASO)
○バージャー病
・概要
閉塞性動脈硬化症(ASO)
腹部大動脈、腸骨、大腿動脈などで動脈硬化から抹消動脈が閉塞・狭窄し、循環障害から下肢疼痛や冷感、チアノーゼなどの症状がでる
バージャー病
閉塞性の血栓血管炎、ASOより抹消の動脈が閉塞するため(静脈系への関与)、足趾末端の潰瘍や遊走性静脈炎、壊死などもみられる。昔はビュルガー病とも呼ばれていた。
・診断
閉塞性動脈硬化症(ASO)
問診やFontaine分類・ABI測定・触診・エコー・CTなどで評価する。
バージャー病
発症時に膝窩以下や上肢の動脈閉塞、又は遊走性静脈炎の既往がある。その他に年齢、喫煙歴、高血圧症などで評価する。
難病情報センター
・アフェレシス
血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
リポソーバ
・除去ターゲット
リポ蛋白
凝固因子
・アフェレシスの位置づけ
基本は保存的治療(運動や禁煙)と薬物療法です。重症下肢虚血をを有する場合、第一選択の治療は血行再建術です。血行再建後でも効果が見られないときはLDLアフェレシス(PE,DFPP,PA)を検討してよい。血中LDLコレステロールやFib除去で微小循環障害改善の報告あり。難治性バージャー病も肢切断を回避した報告あり。
末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン (2015 年改訂版)
・保険適応
ASO
10回3か月
フォンティン分類II度以上+薬物療法下総コレステロール220mg/dl(or LDL140mg/dl)以上+外科的処置困難
バージャー病
なし
家族性高コレステロール血症(FH)
・概要
高LDLコレステロール血症、黄色腫、冠動脈硬化などがみられる遺伝性のある疾患。ヘテロ接合体とホモ接合体で分類され、それぞれ治療法が異なる。
・診断
高LDL血症で腱黄色腫or皮膚結節性黄色腫がみられる。家族歴からも評価する。
・アフェレシス
血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
リポソーバ
・除去ターゲット
リポ蛋白(LDLコレステロール)
・アフェレシスの位置づけ
食事療法、運動療法、薬物療法により、LDLコレステロール値を100mg/dl以下を目標に管理するのが望ましい。薬剤抵抗性で冠動脈疾患を合併する場合は躊躇なくLDLアフェレシス(PE,DFPP,PA)を行うこととされており、治療開始は早ければ早いほど良いと考えられている。ホモ接合体で上記治療によって効果が見られないときは肝移植も考慮する。
PE
体外循環血液量が比較的少ないためホモ接合体10歳未満の小児で用いられることが多い。
DFPP
VLDL,LDLを選択的除去するが、HDLの除去率は低い。
PA
リポソーバでVLDL,LDL,リポ蛋白を特異的除去。カラムが陰性のため、ACE阻害剤との併用禁忌。
家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2017
小児家族性高コレステロール血症診療ガイド2017
・保険適応
週1回/維持療法
黄色腫+冠動脈硬化+(空腹時LDLコレステロール370mg/dl以上のホモ接合体 or LDLコレステロール170mg/dl以上のヘテロ接合体、薬物療法下)
コレステロール塞栓症(CCE)
・概要
大血管の血管壁にあるコレステリン結晶が剥がれて、微小血管で詰まる
・診断
生検で動脈内のコレステロールクレフトの確認
・アフェレシス
血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
リポソーバ
・除去ターゲット
コレステロール(コレステリン)結晶
不随して炎症性サイトカインも除去
・アフェレシスの位置づけ
確率した治療法はない。少量ステロイドやLDLアフェレシス(PE、DFPP、PA)が有効な報告あり。
・保険適応
なし
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参考にした資料
[参考書]アフェレシス療法ポケットマニュアル(2012)
[参考書]アフェレシスマニュアル(日本アフェレシス学会,2010)
[HP]令和2年度診療報酬点数 処置(今日の臨床サポート)
↑厚労省の診療報酬改定内容がわかりやすくまとまっているサイトです。