apheresis 血液浄化

腎疾患に対するアフェレシス

投稿日:2月 2, 2020 更新日:





急性進行性糸球体腎炎(RPGN)

○抗白血球細胞質抗体(ANCA)型RPGN(微量免疫型)

○抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)型RPGN(線状型)

○RPGN(顆粒状型)
 SLE-ループス腎炎、クリオグロブリン血症、IgA、など

・概要

血尿、蛋白尿、貧血と急速に進行する腎不全をきたす症候群

壊死性半月体形成性糸球体腎炎で糸球体の蛍光抗体法による免疫グロブリン沈着様式から

沈着がないor軽度の微量免疫型
 →抗白血球細胞質抗体(ANCA)型RPGN

線状型
 →抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)型RPGN

顆粒状型
 →SLEやIgA血管炎などでみられる。

・診断

急速な腎機能低下(3か月以内にeGFR 30%↓)
血尿・蛋白尿・円柱尿などの尿所見
腎生検(壊死性半月体形成性糸球体腎炎)など
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE、SePE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)

・除去ターゲット

ANCA型
 ANCA(抗好中球細胞質抗体)
 MPO-ANCA、PR3-ANCA

抗GBM抗体型
 IgG(抗GBM抗体)

免疫複合体型
 抗DNA抗体
 アナフィラトキシン(C4a,C3a,C5a)
 ケモタキシン(C5a)

・アフェレシスの位置づけ

基本的に副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬に推奨度が高い。PEは抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)型RPGNでは強い推奨(免疫抑制療法との併用が原則)。抗白血球細胞質抗体(ANCA)型RPGN、免疫複合体型RPGN(ループス腎炎)は弱い推奨(DFPP,IAPPが有効の報告あり)。
エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン2017

・保険適応

7回2週間×2
抗白血球細胞質抗体(ANCA)が陽性

7回2週間×2
抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)が陽性

原疾患がSLEの免疫複合体型RPGN(ループス腎炎)であれば適応あり。
(→SLEの保険適応)
※SLE:全身性エリトマトーデス





一次性ネフローゼ症候群

○巣状糸球体硬化症(FSGS)

○微笑変化型ネフローゼ症候群(MCNS)

・概要

原因不明で大量の蛋白尿漏出、低アルブミン血症や浮腫が特徴の症候群。巣状糸球体硬化症(FSGS)、微笑変化型ネフローゼ症候群(MCNS)、膜性腎症(MN)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)がある

・診断

必須条件

尿蛋白が高値(3.5g/日以上)で血清アルブミンの低値(3.0g/dL以下)がみられる。その他は血清総蛋白量6.0g/dl以下、浮腫、脂質異常症(高LDLコレステロール血症)、卵円形脂肪体などがみられる。

原因疾患があるもの二次性、原因疾患がないもの一次性ネフローゼ症候群
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)
血漿吸着(PA)
 リポソーバ
体外限外濾過法(ECUM)

・除去ターゲット

リポ蛋白
液性因子の蛋白(FSGS)

・アフェレシスの位置づけ

第一に経口ステロイドや免疫抑制剤を補助療法・支持療法とされている。症例研究レベルで高LDLコレステロール血症合併の難治性ネフローゼ症候群にLDLアフェレシス(PE、DFPP、PA)すると約半数で尿蛋白減少あり。保険適応外だがMCNSやMNに対しても有効といわれる報告もある。利尿薬抵抗性の症例はECUM(体外限外濾過法)によって血漿総蛋白濃度上昇と溢水の改善で利尿効果が回復する報告もある。
エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2017
ネフローゼ症候群診療指針[完全版]

・保険適応

(FSGS)12回3か月
薬物抵抗ネフローゼ+血清コレステロール250mg/dl以上





IgA腎症

・概要

糸球体のIgA沈着を認める慢性糸球体腎炎。

・診断

ほとんどの症例で症状なし、肉眼的血尿、まれにネフローゼ症候群

尿検査で血尿がみられ、血液検査では血清IgA高値がみられる。腎生検で病変がみられたら確定診断
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)

・除去ターゲット

IgA1

・アフェレシスの位置づけ

ステロイド、免疫抑制剤が主な治療でまれにPE。どれも難治性。20年で約40%は末期腎不全
エビデンスに基づくIgA診療ガイドライン2017

・保険適応

なし





紫斑病性腎炎(HSPN)(IgA血管炎)

・概要

紫斑病の症状と糸球体へIgAが沈着し糸球体腎炎を起こす。

・診断

隆起性の紫斑、急性の腹部疝痛、生検組織での小動静脈壁の顆粒球の存在、年齢が20歳以下(米国リウマチ学会)
難病情報センター

・アフェレシス

血漿交換(PE)

・除去ターゲット

IgA1
IgG
C3
まれにIgM

・アフェレシスの位置づけ

紫斑病性腎炎に特別な治療はない。PEも推奨度が低い。小児例で有効という報告がある。
血管炎症候群の診療ガイドライン2017

・保険適応

なし





特発性(本態性)クリオグロブリン血症性血管炎(CV)

・概要

クリオグロブリン(CG)は低温(37℃以下)で白色沈殿する免疫グロブリン(IgG IgM IgA C3)

・診断

12週間以上の間隔で2回以上CG陽性の患者のうち、問診・臨床症状・検査所見のうち2項目以上で感度88.5%,特異度95.4%でCVと分類できる。(欧州の暫定的分類基準)
血管炎症候群の診療ガイドライン2017

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP、CF)

・除去ターゲット

クリオグロブリン(IgG,IgM,IgA)

・アフェレシスの位置づけ

軽症は保温。重症は有効な治療はないが、ステロイド、免疫抑制薬、PEで有効の報告あり。PEの推奨は他の治療に比べて低い。巨大なクリオグロブリンの除去は原理上クリオフィルトレーションが効率良い?
血管炎・血管障害診療ガイドライン2016

・保険適応

なし





全身性アミロイドーシス

 ○腎アミロイド

 ○透析アミロイド

・概要

全身性アミロイドーシス or 基礎疾患から二次的に発症(関節リウマチなど)し、アミロイドが沈着した病態。家族性アミロイド、脳アミロイド、角膜アミロイドなどがある。

・診断

腎アミロイド
腎生検でコンゴーレッド染色陽性がみられる
東京女子医科大学病院 腎臓内科

透析アミロイド

臨床所見 

多関節痛、手根管症候群などの臨床所見や病変部位のCongo red染色陽性、抗β2-MG抗体に対する免疫組織化学的陽性などの病理学的所見がみられる。

・アフェレシス

血漿交換(PE)
血液吸着(HA)
 リクセル

・除去ターゲット

各種アミロイド蛋白

腎アミロイド
ALect2
ALys(リゾチーム)
AFib(フィブリノゲンα鎖)

透析アミロイド
Aβ2M(β2-MG)

、AA、AL、…

・アフェレシスの位置づけ

主に基礎疾患の治療(二次性)、もしくは対症療法(全身性)
全身性アミロイドーシスにPEを施行し、アミロイド物質沈着遅延効果と症状軽減の報告あり。
全身性アミロイドーシスに対する血漿交換療法
標準的治療:アミロイドーシス

透析アミロイド
生体適合性の良い透析膜の選択、透析液の洗浄化が推奨レベル高い。HDFやHF、HA,DHPのも治療として有効。
アミロイドーシス診療ガイドライン2010

・保険適応

全身性アミロイドーシス、腎アミロイド
なし

透析アミロイド
1年
β2-MGによるアミロイド沈着確認(OPEor生検)+透析歴10年+手根管開放術歴+骨嚢胞像(画像診断)





腎移植

・概要

健康な人(ドナー)の腎臓を腎機能低下している患者(レシピエント)に移植すること

・診断

腎移植希望者(レシピエント)適応
主に末期腎不全患者

腎臓提供者(ドナー)適応外
活動性感染症や悪性腫瘍などがみられる
日本移植学会

・アフェレシス

血漿交換(PE)
二重膜濾過血漿交換(DFPP)

・除去ターゲット

IgG
IgM

・アフェレシスの位置づけ

生体腎移植、ABO血液型不適合腎移植(近年増加傾向)の移植当日の抗ドナーのIgG,IgM を16倍以下にし、ABO 血液型不適合腎移植を計画的に安全に施行することを目的に行う。
自治医科大学附属病院におけるABO血液型不適合腎移植

・保険適応

DFPP
術前4回、術後2回
ABO血液型不適合間の同種移植orリンパ球抗体陽性の同種移植

PEは保険適応なし





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参考にした資料

[参考書]アフェレシス療法ポケットマニュアル(2012)

[参考書]アフェレシスマニュアル(日本アフェレシス学会,2010)

[HP]令和2年度診療報酬改定について(厚生労働省)

[HP]令和2年度診療報酬点数 処置(今日の臨床サポート)
↑厚労省の診療報酬改定内容がわかりやすくまとまっているサイトです。

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