ECMO使用中はバイタルを補助することが可能ですが、長期使用になると出血や後負荷、感染などの悪影響ももちろん現れてきます。
このように、早く離脱した方が良い場面もありますが、離脱を急ぎすぎるあまり再導入になってしまうと、さらに患者への侵襲が増えてしまいます。
ECMO管理中に日頃から離脱テストを行い、離脱できるか評価します。
実際の離脱では輸血や離脱テストなど事前の「準備」がとても大切になってきます。
今回はECMOの離脱についてご紹介します。
ECMO離脱の Point!
・心臓と肺が回復してきたら離脱テストを試みる(VA ECMOとVV ECMOで方法が異なる)
・離脱前に輸血や抗凝固療法を止めるタイミングをあらかじめ決めておく(出血や止血を考慮)
・関わるスタッフでよく話し合い、慎重に行う(出血や再導入などのトラブルがあるので)
VA ECMOの離脱テスト
FIO2 40%以下、PEEP 10mmHg以下で自発呼吸によってガス交換(SaO2 94%以上、PaCO2 45mmHg以下、P/F比150以上)ができている状態
自己心機能が改善し人工呼吸器や昇圧剤で代用できる見込みがあればECMOの設定を落としていき、離脱を試みます。
数日間かけ遠心ポンプの流量を3 l/min → 2 l/min → 1 l/minと落としていき、同時に人工肺の吹送ガス流量を落としていきます。
遠心ポンプの流量が1 l/min以下だと逆流や血液停滞による回路内凝固のリスクがあり、1 l/min以下にしない施設が多い印象です。(2~3分ECMOを停止させて評価する施設もあります)
吹送ガス流量は微量に流します。
離脱テストでは送血回路と脱血回路を短絡(シャント)し、循環させる施設もあります。この時、回路内で血液は回っていますが、患者には送られていない状態です。
遠心ポンプをを停止させる場合、送血から脱血へ血液が逆流するため、ECMOの回路を鉗子で遮断します。
離脱できる!人工呼吸器と昇圧剤だけで管理できる!(IABPやインペラーも)となれば、離脱します。
VV ECMOの離脱テスト
FIO2 40%以下、PEEP 10mmHg以下で自発呼吸によってガス交換(SaO2 94%以上、PaCO2 45mmHg以下、P/F比150以上)ができている状態
VV ECMOは人工肺に流れるガスを止めるだけで離脱テストができます。
人工肺のガスを止めると右房で血液がグルグル流れるだけになる。そこで人工呼吸器だけで酸素化と換気ができるかはSpO2、ETCO2、血液ガス測定し、自己肺のガス交換能を評価します。
離脱できる!人工呼吸器だけで管理できる!となれば、離脱します。
いざ!離脱!
離脱予定日が決まり次第、輸血、FFP、血小板などを準備しておきます。
離脱1時間前にはカニューラ抜去後の止血ができるようヘパリン等の抗凝固剤を止めておきます。
自己心機能と肺機能ともに離脱可能と判断したらECMOを離脱し、逆流しないようECMOの送脱血回路を鉗子で遮断します。
遮断後もバイタルに異常が無いことを確認しカニューラを抜去します。
カニュレーション時に
外科的に切開した場合は血管を修復します。
経皮的に挿入した場合は動脈・静脈ともに圧迫止血で対応します。
圧迫が強すぎると末梢部の虚血を伴うため、末梢部分の色やSpO2モニターで波形を確認しながら圧迫止血します。
動脈は確実に止血したい場合、外科処置で血管を露出させて止血する方が望ましいです。
離脱に有用なパラメータ
・心エコー
駆出時間0.2秒以上、VTI 10cm以上、EF20〜25%以上、左室内径短絡率改善正常値30~50%、僧帽弁輪収縮期最高速度6cm/s以上、右室の大きさ、function、TAPSE三尖弁輪部収縮期移動距離、など。
※ECMO流量を1 l/min程度まで落とし、IABP切った状態(ECMOによる前負荷、後負荷が少ない状態)で自己心機能を評価します。
・脈圧
左心の駆出力を見ます。
・ETCO2
心拍出量が増えると肺血流も増えるため徐々にETCO2もPaCO2に近い値まで上昇します。
・肺動脈楔入圧(PAWP)
22mmHg以下
前負荷の指標、VA ECMO流量下げるとPAWPは上昇します。
・心係数(CI)
2.0 l/min/m2以上
自己心機能の評価、低自己心拍出量・高ECMO流量の時は不確実です。
・静脈血酸素飽和度(SvO2)
70%以上を目標
組織循環の指標
・乳酸(Lac)
正常範囲目標
組織循環の指標
・尿量
組織循環の指標
・総ビリルビン(T-Bil)
右心不全の指標
高流量時のIVC径、CVPはあまり有用ではありません。
ECMO終盤は出血が問題になることが多く、ECMO治療を続ける方がリスクだと判断した場合は早めに離脱を試みます。
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参考にした資料
[参考書]ECMO・PCPSバイブル(各学会,2021)
[参考書]呼吸ECMOマニュアル(2014)
[雑誌]ECMO(INTENSIVIST,2013)
[指針]ELSOガイドラインHP(各学会)
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