少し前の話になりますが、
集中治療専門臨床工学技士の試験に合格し、専門技士になることができました!!
しかも第1回目の試験になります!
過去問もない中で対策もできず、不安でしたがなんとか取得できました。
そもそもどんな制度なのか、以前に取得した「認定集中治療関連臨床工学技士」の進化版と考えるとわかりやすいです。
今回は、私が経験した「集中治療専門臨床工学技士を取得する流れ」をご紹介します。
制度の目的
集中治療専門臨床工学技士は
“集中治療における病態生理、診断、治療に関する高い知識を有した専門性の高い臨床工学技士を育成、認定することにより、我が国の医療、ならびに集中治療の発展に寄与することを目的とします。”
現在まで特定加算がとれる集中治療室が普及してます。「特定集中治療室管理料」と呼ばれるものです。
こういった制度を設けて特定集中治療室という名の「箱(ハコ)」を充実させてきましたが、さらなる充実した治療を提供する集中治療専門臨床工学技士「人(ヒト)」を育成し、充実させることが目的となります。
取得までのおおまかな流れ
図のように「書類審査→筆記試験→資格取得」といった流れになります。
まずは書類審査を受けますが、書類審査の前に審査に必要な業績が必要です。
書類審査前にしておくこと
・認定集中治療関連臨床工学技士 取得or試験合格
・ICU or ER or PICUの実務経験5年以上
・日本集中治療学会の全国学会or地方学会に参加
・30単位
・症例報告
・認定集中治療関連臨床工学技士
日本臨床工学技士会が認定する「認定集中治療関連臨床工学技士」を取得もしくは試験合格していなければ書類審査を受けることができません。まずは認定集中治療関連臨床工学技士を取得しましょう。
技士会の会員にはる必要はありますが、「日本集中治療医学会」の会員である必要はありません。日本集中治療医学会の会員でなくても受験することが可能です。
事前に受ける認定集中治療関連臨床工学技士の時に「日本臨床工学技士会の会員であること」が条件になってるので、集中治療専門臨床工学技士を受験する頃はみなさん技士会の会員にはなっているはずです。
・5年間の実務経験
5年以上の実務経験が必要です。
なかでも「特定集中治療室管理料」「救命救急入院料」「小児集中治療室管理料」を算定する施設での5年以上の実務経験が必要になります。
管理料は全部ではなく、いずれか1つでも該当していればOKです。
一般的な「集中治療室」でも特定加算をのある集中治療室かどうか、働いている病院に確認する必要があります。
専従・専任は問わないので、集中治療以外に従事していても管理料をとっている「病院」で働いていればOKです。
途中でICUが管理料をとれるようになった場合は、管理料の算定がスタートしてからの実務経験年数になるので、注意が必要です。
いろんな施設で働いた経験がある場合は合算することはできます。工夫しましょう。
・学術業績
日本集中治療学会の「全国学会」もしくは「地方学会(関東、九州とか)」に最近5年間で1回以上参加していることが条件になります。1回でも参加すればよいので、機会があえば行きましょう。
論文や学会参加・発表などの業績は「単位」として計算されます。
(取得単位の例)
2021年福岡県臨床工学会演題発表:10単位
2020年日本呼吸療法医学会参加:5単位 など
最近5年間で合計が「30単位」を超えなければなりません。
論文や業績は日本集中治療医学会が認める学会のものでなければなりません。企業のパンフレットや、研究会のリーフレットは単位にならないので注意しましょう。
単位を書類審査時に証明する時は、学会に参加した時の「参加証」コピーや演題発表の「抄録」コピーが必要になるので、日ごろから捨てずに大事にしまっておきましょう。
・症例報告
書類審査の申請書作成時に症例報告をします。
人工呼吸10例以上と血液浄化10例以上になります。
管理料をとっている施設であれば症例数は問題ないと思います。
症例に期限もないので、昔に治療した症例内容でも構わないとのことです。
申請書を作ろう!(書類審査)
日本集中治療医学会のホームページから申請書類をダウンロードします。
履歴書、勤務証明書、学術業績の証明、などなど
書けるとこはどんどん書き、院長や専門医からハンコをもらって空欄を埋めていきます。
みなさんつまずくのが症例報告になります。
「どんな感じで書いた?」とよく問い合わせがあります。
記載例もダウンロードできるので、私はそれを参考にしながら書きました。
記載例を眺めてみると「PEEPの調整を医師に提案した」とか「換気補助はNPPVに移行することを医師に提案した」などなど、どうやら「臨床工学技士としての貢献度」を審査しているように伺えます。
自分はICUでこれだけ治療に貢献していますよ!と主張した記載方法が良いのではないか。と思います。
申請書を書き終えたら郵送し、書類審査です!
(書類審査料10000円!?)
後日、合格通知が届きました。
通知の内容にそって筆記試験の準備にとりかかります。
(ここでも試験審査料15000円!?)
いざ筆記試験!!
受験票を持っていざ筆記試験!!
会議室には受験者がたくさんいましたね。
選択問題100問!!制限時間150分!!
会場に時計がないので持って行った方が良いですよ(スマホはダメです×)
筆記試験終了後は問題用紙を持って帰ることができました。
ここでは著作権の関係で紹介することができませんが、どんな問題か知りたい!という方もいることでしょう。
簡単ではありますが、実際の筆記試験内容に似たような例題を作ってみました。
[例題1]血液透析で除去できる物質はどれか。2つ選びなさい
a,フィブリノゲン
b,IgM
c,アルブミン
d,カリウム
e,尿酸
[例題2]60歳男性・身長166cm、体重87kg。既往としてCOPD、肥満を指摘されており、COVID-19により呼吸状態悪化、人工呼吸を導入した。挿管後の血液ガス分析値はpH 7.37、PaCO2 68mmHg、PaO2 60mmHg、HCO3- 42mmol/Lである。人工呼吸器設定はA/C換気(量規定)FIO2 0.4、1回換気量 380mL、吸気時間 1.0秒、換気回数 15/分、PEEP 8cmH2O、最高気道内圧 28cmH2Oである。胸部単純X線ではすりガラス影を認めている。まず行うべき人工呼吸器の設定変更について正しいものはどれか。
a,1回換気量を上げる
b,吸気時間を延ばす
c,換気回数を増やす
d,FIO2を上げる
e,PEEPを上げる
こんな感じです。
参考になったでしょうか。
調べてみると過去問が日本集中治療医学会のホームページに載っていましたね。
合格通知が到着!
後日、合格通知が届きました!
(登録料15000円!!??)
(※集中治療医学会の会員は登録料10000円)
しばらくすると認定証も届きました。
第1回目の試験なので、番号も2桁と若いですね。
気になる合格率は・・・
気になる合格率ですが、まだ公開されておりません。
第1回目は「91名合格」と合格人数は公開されていますが、合格率は計算できないものです。
当時のツイッターでは、かなり多くの方が合格されていて盛り上がってました。
逆に不合格された方はSNS上で見かけませんでした。
オフラインで仲の良い知人は不合格だったので、私の身の周りでは10人ほど合格、1人不合格といった成績です。
試験前に、とある講演会で試験の目標合格率を話してくれる講師がいました。その当時は「7~8割合格!」と言っておりました。
試験は書類審査と筆記試験ですが、とくに書類審査に力を入れているようです。
筆記試験は認定集中治療関連臨床工学技士の受験時に一度行っているので、「知識はある程度担保されている」と考えられて、書類審査ほどは重要視していない(比較的合格しやすい?)と言われています。
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認定集中治療関連臨床工学技士になる方法 はこちら
臨床工学技士集中治療テキスト はこちら
その他の記事 はこちら(HP)
参考にした資料
[参考書]臨床工学技士集中治療テキスト(日本集中治療医学会,2019)