挿入場所の決定
基本は内頸静脈・大腿静脈を選択します。
他にも鎖骨下静脈、上腕尺側皮静脈などがあります。
○右内頸静脈
第一選択によく使われます。解剖学的に屈曲部分が少ないため挿入しやすく、先端の脱血不良がおこりにくいです。
○左内頸静脈
解剖学的に屈曲部分が多く挿入時で肺に穿孔し血胸や血気胸のリスクがあります。また先端が血管壁に張り付き、脱血不良が多いと言われています。
○右・左大腿静脈
挿入に問題はありませんが性器が近いため感染リスクが高いです。また下大静脈は血流が少ないため、送血した血液が脱血されてしまう(リサキュレーション)割合が多いという意見もあります。
鎖骨下静脈も使われますが気胸リスクや出血時の止血が難しいのであまり使いません。
ブラッドアクセス選択
ブラッドアクセスのタイプを選択します。
挿入場所から先端までの距離は患者の胸に上からあててみるとわかりやすいです。
もしくは胸写を使って確認し、ブラッドアクセスの長さを決めます。
ブラッドアクセスが短くても長くてもいけません。
短すぎる
→透析を開始した時に脱血不良を起こす
長すぎる
→上大静脈の深部は心膜内にあるため深すぎると心タンポナーデになる可能性があります。また、カテーテル先端が心房にあたって不整脈を起こす
適正な長さを決めるのがカギです。
自分の感覚では内頸は15~25cm、大腿は20~25cmくらいでと思います。
もちろん患者の身長でおおきく変わります。
身長が高いほど右房までの距離が長くなり、使用するブラッドアクセスも長くします。
いざ挿入!
エコーでプローブをあてて
つぶれるのが静脈。
つぶれないのが動脈です。
内頸静脈(右)
大腿静脈
血管を決めたら穿刺し、セルジンガー法でブラッドアクセスを挿入していきます。
血管に入ったら逆血を確認。
動脈と静脈の識別が難しいこともあるので、血液の色やシリンジの逆血具合、不安であれば血液ガス測定をして判断します。
ガイドワイヤーを入れます。ガイドワイヤーは離さないように細心の注意をはらいます。血管内に入ることがあります。
シリンジをダイレータに切り替えて挿入します。ブラッドアクセスが入るように穴を広げます。(ダイレーション)
ガイドワイヤ挿入はブラッドアクセスのキットでデバイスが変わります。上はCOVIDIENのYサイトを使った穿刺です。
ブラッドアクセスに切り替えて挿入します。目標に位置まで入ったら固定します。
終わったら逆血を確認して、X線でブラッドアクセスの位置と気胸の有無を確認して終了です。
通常はセルジンガー法で挿入しますが、新生児は血管の確保が難しいためカットダウンで挿入することもあります。
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参考にした資料
[参考書]CRRTポケットマニュアル(2015)
[参考書]アフェレシス療法ポケットマニュアル(2012)