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NAVAってなに?(特殊な呼吸器モード)

投稿日:3月 7, 2021 更新日:

神経調節補助換気(NAVA : neurally adjusted ventilatory assist)モードとは

横隔膜活動電位(Edi : diaphragm electrical activity)を測定して換気補助を行うモードです。

NAVAは横隔膜の活動電位を利用して呼吸努力に応じたトリガー値や吸気時間を決めます。

通常の呼吸器モードより同調性が高く生理的なモードと言われています。

同調性の高いNAVAによって廃用性横隔膜機能低下(VIDD)を予防する効果が期待されています。

NAVAモードはServoシリーズに搭載されています。





Ediカテーテル挿入

NAVAモードを使用するには「Ediカテーテル」を挿入し、横隔膜の活動電位を測定する必要があります。

Ediカテーテルは食道から挿入し、電極が横隔膜あたりで留置できるよう位置を合わせます。

挿入はEdiカテーテルのモジュールテストを行なったうえで挿入していきます。

鼻~耳~剣状突起までの長さ(青い点線)が挿入長の目安と言われています。

サーボUでは画面操作で挿入長(NEX)を入力すると、さらに補正された挿入長が表示されます。

挿入後に剣状突起あたりで気泡音を聞いて挿入を確認する方法もあります。



挿入長(NEX)

また、Ediカテーテルで心電図を測定し、位置調整を行います。

4段画像があり、最上段でP波とQRS波があり、最下段でP波消失とQRS波が減少する位置が望ましいです。



Ediカテーテル位置確認画面

※2段目と3段目にピンク色の波形があると最適な電極位置

Ediカテーテルを挿入したら測定を行います。人工呼吸器の画面で横隔膜の活動電位がリアルタイムでモニタリングできます。

横隔膜活動電位(Edi)はしっかり測定できない場合は電極の位置が正しくないか、鎮静薬による自発呼吸抑制や中枢性無呼吸が考えられます。

このように「自発の有無」も横隔膜活動電位(Edi)で確認できるため、鎮静薬の評価にも役立ちます。





NAVAモードの動作

「吸気トリガー」「呼気トリガ―」「送気圧」は横隔膜活動電位(Edi)を使って調整されます。



横隔膜活動電位(Edi)と吸気トリガー

吸気は横隔膜活動電位(Edi)を使ったEdiトリガーが用いられます。

横隔膜活動電位(Edi)の波形は電位の絶対値ではなく、変化値になります。

Ediトリガーが低いと敏感になり、Ediトリガーが高いと鈍感にトリガーします。(画像はEdiトリガー0.5μV)

実際はEdiトリガーとフロー(圧)トリガーのうち早い方をトリガーします。

基本は横隔膜活動電位(Edi)の方が早いため、Ediがトリガーされることが多いです。

心電図のフィルタリングによる時間の遅れ、アーチファクトの存在や横隔膜以外の呼吸筋の活動により横隔膜活動電位(Edi)より早くトリガーされてしまうことがあります。

Ediトリガーも通常のトリガーより同調性に優れていますが、設定が適正でないとミストリガーオートトリガーを起こすことがあります、同調性が得られやすい設定にします。



横隔膜活動電位(Edi)と呼気トリガー

呼気は横隔膜活動電位(Edi)の最高値から通常は30%低下(70%)した点から呼気に転じ、それまでの時間が吸気時間となります。

横隔膜活動電位(Edi)の最高値が極端に小さい場合は横隔膜活動電位(Edi)の最低値で呼気に転じます。

また、NAVA level(後述)より3cmH2O高い圧が検知されると自動で呼気に転じます。

NAVAモードで動作中は成人2.5秒、小児は1.5秒までが最長になります。



横隔膜活動電位(Edi)と送気圧

送気圧は「NAVA level」で設定します。

NAVA levelは単位が「cmH2O/μV」なのでNAVA level「1」の時は

1μVの横隔膜活動電位(Edi)で1cmH2Oの圧で送気されます。

横隔膜活動電位(Edi)と気道内圧の吸気相は似たような波形になります。

同様にNAVA levelが1.5、2.0と高くすると送気圧が高くなっていきます。

このようにNAVAモードでは横隔膜活動電位(Edi)で送気圧が変化するため、設定値だけでなく患者の吸気努力でも送気圧が変化します。

送気圧が多少高くても横隔膜の活動電位が下がるよう機械的にではなく生理学的にフィードバックされ、過剰な圧がかかりにくいです。

また、トリガーして一定の圧をかけるPSモードと違い、横隔膜活動電位(Edi)で送気圧が変化します。誤ってトリガー(オートトリガー)しても過大な圧がかからないです。

過剰な圧によって起こる人工呼吸器関連肺障害(VALI)の予防につながります。





NAVAを使う場面

NAVAはどんな人に使うのでしょうか。

原理のことを考えて、同調性改善目的で通常は使用します。

内因性PEEP(COPDや喘息、頻呼吸)が問題となる患者ではミストリガートリガー遅れの減少効果があります。

カフなしチューブ(小児・新生児)やNIV使用時はオートトリガーの減少効果があります。

下位頸髄損傷では横隔膜は温存されているが呼吸補助筋の機能が低下していることがあるため、NAVAモードの良い適応です。

横隔膜活動電位(Edi)で呼吸仕事量を評価し、ウイニング困難な患者に使用することもあります。





呼吸努力に合わせたモード

NAVAモードでは患者の呼吸努力に合わせて換気が行われます。患者の呼吸次第で換気動作が変化するモードは他にもPAVがあります。

これらのモードでは廃用性横隔膜機能低下(VIDD)人工呼吸器関連肺障害(VALI)の予防が期待されています。

また、睡眠の質改善や鎮静薬の減量も期待されています。

NAVAモードは自発がなく横隔膜活動電位(Edi)がない場合や非同調、ECGの干渉では人工呼吸器から送気がされないため、バックアップ換気の忘れずに設定しましょう。





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参考にした資料

[特集]人工呼吸器(INTENSIVIST,2018)


[総説]Neurally adjusted ventilatory assist (NAVA) (人工呼吸,2012)

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