PRVC(pressure regulated volume control)とは
設定された「目標1回換気量」を達成するよう「吸気圧」を調整するモードです。
VCV(volume control ventilation)とPCV(pressure control ventilation)を合わせた機能を持ち、DCV(dual control ventilation)とも呼ばれています。
PRVCの換気の流れ
目標1回換気量に向けて吸気圧を調整するとはどういうことでしょうか。次のようになります。
PCVでは「吸気圧」、VCVでは「1回換気量」を設定しますが、PRVCはちょっと違い、設定する項目は「1回換気量」になります。
正確には「1回換気量」ではなく「目標1回換気量」になります。
1回換気量を設定すると、呼吸するたびに必要な送気圧を計算し従圧式換気(PCV)をします。
PRVCは原理だけで考えるとVCVより低い平均気道内圧、プラトー圧で管理でき、PCVより1回換気量の調整が簡単になるコンセプトで作られたモードです。
似たようなモードで「VC+」や「AutoFlow」があり、機種によって調整の仕方(アルゴリズム)が少々違いますが、大きな違いはないです。
PRVCのデメリット
PRVCは一見、良いとこどりですが意外と使われる場面が少ないです。
PRVCでは患者の吸気が弱い時に設定した一回換気量を得られるよう送気補助します。
患者の吸気が強い時はすぐに設定した一回換気量に達するため、呼吸器による圧補助・流量補助は弱くなります。
吸気が強くなるほど呼吸器の補助は弱くなるというのが他のモードとの違いです。
設定した目標1回換気量より多い1回換気量が観測されたときは吸気努力が強すぎることがあります。
吸気努力が強いと経肺圧が増加し、人工呼吸器関連肺障害(VALI)を起こすリスクがあります。
PRVCは肺コンプライアンス低下や病態変化などで吸気努力が強くなることがあります。
(目標)1回換気量が低く設定すると足りない換気量の分だけ、呼吸筋で補おうとして吸気努力が強くなってしまいます。
患者が問題のこともあれば、人工呼吸器の不適切な設定など医療者側の問題で吸気努力が強くなってしまうことがあります。
吸気努力が強いとVIDDを合併したり、呼吸器との非同調につながるため注意します。
PRVCを使う場面
急性呼吸不全であまり使用されないイメージです。
肺自体に問題がなく、吸気努力がない(弱い)患者に使用されます。
術後の短期間使用で使用されることがあります。
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