酸素化が障害されている呼吸不全ではFIO2やPEEPをかけることで改善します。
特に換気血流比不均衡(ARDSなど)に対する治療は理論上FIO2よりPEEPによる陽圧が有効な場面があります。
PEEPによる平均気道内圧増加
平均気道内圧=(PIP-PEEP)/2×(TI/TCT)+PEEP
しかし、高すぎる陽圧は肺障害が起こします。
高圧を避けるために、PCVモードでは
最高気道内圧は30cmH2O以下
ドライビングプレッシャー(最高気道内圧とPEEPの差)は15cmH2O以下
で管理するのが一般的です。
となると、最大に設定できるPEEPは最大で15cmH2Oとなります。
15cmH2O以上にPEEPを上げれないことはわかってるけど、低酸素が悪化したのでPEEPを上げたい!
という時にAPRVの出番になります。
APRV
APRV(airway pressure release ventilation)とは
「時間サイクルによる短時間の圧開放を有するCPAP」と定義されています。
25~30cmH2Oの高いPEEPをかけます(1)
APRVを行う時は少なくともAPRV前に使用していたモードより2~3cmH2O高い高PEEPでSpO2は92%以上といわれています。
吸気時間(高PEEP相)は6~8秒くらいで必要な分時換気量が得られるようにします。
低PEEPは0cmH2Oにすることで圧が一気に下がり(圧開放)呼気が発生します。(2)
呼気時間(圧開放)は0.6秒後で肺胞虚脱が生じる可能性があるため、肺胞内圧が下がりすぎないうちに高PEEPに戻るよう設定します。(3)
また、最大呼気流量(PEF)から75%まで呼気流量が低下した時間に吸気を行うと安定した肺胞開存が期待できます。
低PEEPの設定は0cmH2Oにしますが、呼気時間が短いため気道内圧は0cmH2Oまで下がることは基本ありません。低PEEPの設定は陽圧(5cmH2O)にすることもできます。
換気回数に決まりはありませんが、換気回数が多いと平均気道内圧が下がり、酸素化が悪くなる可能性があります。
また、自発がある場合は吸気や呼気であってもオープンバルブによって自発呼吸が行えます。
APRVを行うことで高い平均気道内圧が得られ、酸素化の改善を図ります。
APRVとBIPAPの違い
BIPAP(biphasic positive airway pressure)は二相のCPAPであり、APRVと似ていますが厳密には「別物」と考えられています。
BIPAPイメージ
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参考にした資料
[特集]人工呼吸器(INTENSIVIST,2018)
臨床工学技士集中治療テキスト(日本集中治療医学会,2019)