「心不全患者に対して心機能を機械的に補助する装置」のこと。
今回は急性期で使用する体外式VADについて解説します。
体外式VADのポンプ
ECMO(PCPS)で使用される定常流の遠心ポンプと空気駆動で拍動流のニプロVADの二種類が日本でよく使用されます。
体外式VADとして保険償還できるのはニプロVADのみですが、遠心ポンプの方が高流量を生み出せるのが特徴です。ニプロVADは低流量ではありますが70ml容積で1拍動あたり50~60mlの駆出が可能です。
(写真引用:ニプロ株式会社HP)
LVAD RVAD BiVAD
VADは補助する位置によって種類分けされています。
LVAD(左心補助)
脱血:左室 送血:大動脈
RVAD(右心補助)
脱血:右房(右心耳) 送血:肺動脈
BiVAD(両心補助)
LVAD+RVAD
基本はLVADで管理することが多く、遠心ポンプもしくはニプロVADを使用します。遠心ポンプでは回路がECMO仕様なので、呼吸の補助が不必要であれば人工肺は取り外します。
LVADの構造は単純ですがBiVADとなると右心補助(RVAD)も加わりLVADとのバランスが難しくなってきます。BiVADが適応になる症例では肺機能が高度に障害されていることが多いのでRVADかLVADのどちらかに人工肺をつけ、肺の補助も行います。
オススメ関連記事
補助人工心臓(VAD) はこちら
PCPS・ECMO はこちら
インペラー はこちら
NO吸入療法 はこちら
心不全 はこちら
その他の記事 はこちら(HP)
参考にした資料
[参考書]必携! 在宅VAD管理 植込型補助人工心臓による治療の進歩とQOLの向上(日本人工臓器学会,2019)
[雑誌]補助人工心臓の進歩と課題(医学のあゆみ,2018)
[指針]重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン(各学会,2021)
[指針]急性・慢性心不全診療ガイドライン(各学会,2017)